169.文民統制2.
★シビリアン(最高指揮者)の資質・役割
▶自分は軍事的素人であるという自覚を持つ
▶軍事は文化、教育、経済、政治と深く連結しているということを認識している
▶色々な分野の人の意見を最大限聴くこと(意見の真偽を嗅ぎ別ける能力がなければならない)
▶シビリアンの役割は戦争をすることではなく、戦争を予防し、または抑止することであるから、その主たる態度は自制であるのだが、国家主権の危機に際しては、決断しなければならないという責任がある
▶戦争理由、ないしは戦争をしない理由を国民に説明し、理解させるという責任を知っており、その能力を持っている
▶陸海空各軍間の、そして、各軍内におけるセクト間での縄張り、権益、をめぐる争いを一つの意思によって調整し、支配し、統制するために権力を行使しなければならない。
このことに失敗した国は必ず敗れるものである。
これはシビリアンの最も重要な仕事の一つである。
▶シビリアンの危険な兆候はこうである。
⋆計算や見通しを欠く。計算や見通しを示したとしても、それは間違いだらけのものや、こじつけ的なものである.そして頭が悪い.勇気がない.哲学的未成熟.情操上の欠陥.欲が深く虚栄心が強い.
⋆スローガン的に煽動することを好む。
⋆云う事にリァリティがない。具体性がない。結果に関する責任感覚が希薄である。
⋆云う事がブレる。時流や人気を見て思い付きを喋る。人気取りや選挙対策のために戦争をしたがる。
▶シビリアンは-戦争の標的と範囲を決定し-(必要に応じて)使用する軍隊の範囲を指定する。
しかし、後ろから回れとか、ここは戦艦を出せとか、そこら辺をうろついてから逃げろとか、戦術にまで口を出すべきではない。
(系)~軍人は発言を抑制されることがない(政治的発言を含む)。軍人達もまた国民であるから、政治的であり得る。しかし、そのときには彼等が軍事的な役割と権利を持った専門家であることからくる特別の注意義務を要求される。即ち、
イ.軍隊の持つ暴力に拠って政治的に振舞ってはならない。
ロ.専門家として、発言上の特別な役割を持つ。
それは、経済、法律、科学、教育、などの専門家が夫々発言上の特別の役割を持つのと同一である。
・軍人の政治的発言は政治権力の行使ではなく、軍事上の責任を果たす為のものである。
・故に軍人は専門馬鹿では務まらず、文化、政治、経済、科学、法律、哲学、の勉強をしなければならない。
・軍人の発言はシビリアン(=彼らの最高指揮官)に対してのものであり、国民や議会に対して直接話すということは許されない。軍はシビリアンに盲従すべきではない。軍の意見は、100%出さなければならない。それは必然、政治的意見をも含む。何となれば、軍と政の事柄は一体的に進行するものであるからである。シビリアンは軍の発言が縄張りのためであるか、戦争好きのためであるか、出世したいからか、国益のためであるか、目立ちたいからか、それを嗅ぎ別け判別できるようでなければシビリアンの資格はない。
シビリアンに対してこの能力が要求されるので、シビリアンは軍事的な専門知識を持つことが要求される。
軍の責任と権限は、「戦争に勝つこと」-この一つしかない。しかし、系として「勝てない戦争を明確にし、それを証明してシビリアンに示す」責任もある。
軍は早くから勝つための準備をしなければならない。しかし、そのことを手懸りとして、戦争による解決を支持したり、推奨したり、唆したりするような挙動は一切禁じられる。