98.イラク攻撃10.

イラクはシーア派、スンニ派、そしてクルド族という三種類の異邦人それもただの異邦人達ではなく宿怨を持ち合う異邦人達)が混住している地域であり、イラクが民主主義化するためには、

イラクの人々はイラク人としてのみイラクの政治に参加できる

イラクの政治が宗教と人種とによる差別を一切しない

この二つの事項を実施できるか否かにかかっている。しかしイラクの人々がそのようなことに成功するとはとても思われない。だとすると、アメリカが立ち去った後のイラクは又してもフセインのような独裁者が力で制圧しない限り秩序が立てられないことになる。

イラクの多くの人々(サイレントマジョリティ)達がそのためにアメリカの長期占領を願っているとしても、「アメリカが15万人の兵力を一年間イラクに駐留させるには200億ドル(約2.6兆円)かかるという。「米軍の試算によると、イラクの治安維持には8万人の兵力が必要で、駐留費用は、最初の一年間で200億ドル(二兆六千億円!)に達する可能性がある」

「この数字には思わずタジタジとなる。(R・ルーガー共和党上院議員)」

~(News week-2,002.9.18~「イラク攻撃のQ&A」)

アメリカの従属国日本も、今では財政赤字累積額(実質)が900兆円に達していて日本の金に期待をしても無理である。イラクの石油売り上げ収益をもってアメリカ軍のイラク駐留経費に当てるということは難しいであろう。しかしそうでもしなければ他に方法がない。アメリカは政権の無知による強引な戦争政策に対してチェックができないような国になってしまった。議会は対イラク戦に関する権限を大統領に一任するという決議をしてしまった。アメリカの言論は黙り込んでしまった。

大統領即近の政府高官達も大統領に対してものが言えないようになってしまった。

そうした中で、アメリカは、イラク攻撃により、解が存在しない方程式の解を出してみせると宣言してしまった。

しかも、イラクが民主化を遂げさえすればアメリカは満足であるわけがない。実際、アメリカがイラクに手を出した理由の一つは石油であり、サダム・フセインはイラクの石油売却代金の決済を、2011年、ドルからユーロに切り替え、ドルの増刷によって維持されているアメリカの経済とアメリカの世界支配に挑戦してアメリカを非常に苛立たせた。これがブッシュのイラク侵攻の最大の理由である。

イラクと戦争をした結果、何かを持って帰らなければアメリカ国民とアメリカの財閥は納得しないであろう。実際アメリカは、イラクに長期関与するための物的な資本投下を行いつつあるが、アメリカは民主的に運営されるイラク国家の歓迎される客になれるのであろうか.

しかし、アメリカ軍が存在となければイラクの治安が保全できない状況が簡単に解消するとも思われず、イラクの大多数の人々は内心嫌っていてもアメリカが去ればイラクがどうなって行くかを知っているためにアメリカ軍の滞在を必要としている。

アメリカは、イラクが民主化を達成したならば、「我々の崇高な目的は達成した」と称してイラクから手を引こうなどと考えてはいない。

アメリカ軍は最近イラクのバラドに作った空軍基地のほか4カ所のスーパー基地に占領軍を集約し、長期イラク滞在の構えを見せつつあり、そして、推定6億ドルの建設費用をかけて、21棟、室内競技場とプールつき、発電所と浄水場つき、の巨大な大使館を築造しつつある。

(参考資料~News week-2,006.5.3~「イラク-米軍、10年駐留の覚悟を固めた」)