59.スノーデンの米国諜報暴露(2005)

前注:中央情報局(CIA)がおもにヒューミントと呼ばれるスパイなどの人間を使った諜報活動を担当するのに対し、NSA(国家安全保障局)はシギントと呼ばれる電子機器を使った情報収集活動とその分析、集積、報告を担当する。NSAの主要な任務とし「核戦争にそなえる」がある。具体的には、

潜在的敵国の動向を監視し、臨戦態勢、ミサイル発射などの重要事項を直ちに報告する。

非常用通信回線ホットラインを維持し、偶発的な戦争拡大を防止する。

 

1.スノーデンの動機

G・グリンウォルドという記者とガーディアンという新聞社、その友人や協力者が香港に隠れたスノーデン氏による暴露の協力者だ.

E・スノーデンは高校も卒業していないが天才で、アメリカのNSA(国家安全保障局)の中核技術者に出世をし、信任も高かったが、NSAによる諜報行為の全容を把握し、膨大な資料フアイルを持ち出し整理して世界に発表しようとした.その理由は世界の監獄化を危惧したためで、売名ではない.

スノーデンが一生刑務所ですごすことになるか、死刑になるか、祖国を失った隠れ者として逃げ回るような一生を送るか、それを承知の上で自分の名前を表に出して公表することを希望したのは、自分の名前と地位を隠して出せば公表そのものが信頼されないからであるという.

2.暴露されたNSA計画とその進行

存在理由:世界中のインターネット、パソコン、電話による通信を全部把握収集整理し、アメリカ政府が情報監獄の主人として君臨すること

表向きなテロ防止という動機は一部の理由に過ぎず、結局「支配のため」という究極の衝動が動機になっている.したがって、国防・経済・外交・邪魔者の排除など広範な効用を所期し実行している

体制:素材として世界中の海底ケーブル、個人や自国と他国の政府、企業や団体のパソコン、サーバーの中心機械、空中電波、通信衛星、電話回線などが盗聴対象の一方であり、

これらの素材を使って業務をしている企業、アップル、マイクロソフト、グーグル、ヤフー、デルなどの製造会社、通信電話会社、フェイスブック、Gメール、スカイフ゜などが全面的な協力をしている

有力ジャーナリズムは全部この傘下に入った.NSAの国家的な陰謀を暴露する記事は事前にNSAの許可を伺うという不文律が支配し始めた

結果:結果は、まだ未完成ではあるが進行中である.

いくつものシステムが存在し解りづらいが、バゥンドレス・インフォーマットというシステムだけで1カ月間に二千億件処理している

3.結果がどうなるか

・今の時点で「いつでも監視されている」という威圧感がある

・データの殆どが「今日の夕飯は帰ってから食べるの」とか、そんなものであるが、とにかく全部収集したいという執念が凄い

しかし、それはうまく活用されておらず、ただ保管されているだけで、やはりアメリカ政府がCIAのこれまでどおりの活動により判明し目をつけた対象情報がアメリカの諜報の基本になっている

その理由は、ダンプ十台分の砂100万兆個を倉庫に保管して、この中に砂金の粒が100個くらいあるかもしれないといっているのと同様で、どうやって砂金の粒を取り出すかというと方法が難しい

・しかし、全世界いたるところで、これと目をつけた対象の全通信情報はとにかくこの倉庫の中に確実にある可能性が高いのだ

・データの保管場所はユタ州にあり八万五千平方メートル、1センチ四方角の中に数テラバイトという情報保有量のある機器がここに集積されている

4.仲間

ファイブアイズ(アングロサクソン国であるイギリス・カナダ・ニュージランド・オーストラリア)は情報共有協力国で、ほかは限定協力国に分類している.

イスラエルや日本は限定協力国であるが特殊な関係にあり、イスラエルに対して気前よく情報が提供されるが、「イスラエルは自分達に役立つ情報にしか興味がなく、アメリカに対して自分達の情報を出したことは一度もないので」、アメリカに対して敵対的な諜報活動をしている国の順位第三位としても位置づけられていて複雑である

・アメリカは中国のファーウェイ(華為)やZTE(中興通訊)の電子製品にはスパイ機器(裏口監視機器)が埋め込まれていると主張して非難しているが、アメリカの電子製品(パソコンやルーター)も同様である

5.成果

・テロ防止に対する成果は一つも出ていない.即ち、無名の隠れた対象.に対しては、無際限に膨大なシステムだけの力によりこれを嗅ぎ分けて抽出する能力を獲得することができない

しかし、目をつけた特定のターゲットに対しては有力である

・たまたまメルケルドイツ首相の携帯電話が盗聴されていることが問題になったが、勿論、独りメルケルだけではないはずである

・経済スパイとしては南米とロシアの石油企業(ペトロブラスとガスプロム)、南米の経済会議、ベネズェラやメキシコの石油企業に対する盗聴が判明している

・他国の大統領選挙に際して情報操作をして選挙結果を左右しようとする行動が見られた(対ブラジル、メキシコ)

・イランの核兵器開発に対する経済制裁に関して、要注意監視国としてフランス、ブラジル、日本、メキシコなどがその反応と姿勢を疑われNSAが各国政府の動きを盗聴して有利な位置に立って纏めることができた

即ち、各国の意図や弱点を予め察知しここを付いて褒め上げたり脅かしたりししたのである

 

6.アメリカの退廃と云うべきなのであるか否か

・アメリカの司法はこのNSAの、「令状なくして無差別に盗聴する」という合衆国憲法違反行為に対して無差別自動承認スタンプと化した

・大手マスコミの重鎮はアメリカ政府に骨を抜かれ、自社の締め付けを行っている.大手マスコミの幹部の地位とアメリカ政府の要職の椅子が相互交換され行ったりきたりしている.

・アメリカの議会もNSAの誘惑と恐怖に対しては無力であり誰も反撃しない

(参考資料は、グレン・グリンウォールド著「暴露-スノーデンが私に託したファイル」)