31.戦力の情報化・スマートな戦争
情報能力の高度化が戦争をスマートに(=無駄な殺しと無駄な破壊がないように)できるであろうか。
情報が伝達して行く経路の結節点と中枢が戦力の神経系と頭脳である。そこで敵の頭脳と神経系を選択的に破壊すれば効率的に敵戦力を無力にすることができるので血を流すことが少ない。だがその本質は敵の破壊力を麻痺させて自分のほうの破壊力を保存する点にあるからその先が有る。敵の戦力は麻痺しているだけで破壊されてはいない。戦争がゲームと化して、将棋などのように玉が詰む代わりに、情報システムをやられた方が参りましたと一礼して終わるようなことはない。実際、情報システムに攻撃を受けるのは殆ど戦力が劣勢な側であって、仕掛ける方は戦力の差を見越して余裕でピンポイント攻撃をする。非力な側が強力な敵の情報システムの攻撃をする場合、完全に敵の頭脳部と主要な神経系を破壊し尽くさなければならない。さもないと怒り狂った正義の報復論理が発動して、無差別滅多打ち殺戮を食らうであろう。しかし、非力な方が強い方の神経と頭脳を完全に破壊することは、まず不可能である。
参謀本部や首脳の住宅と事務室、兵器庫や工場へのピンポイント爆撃-民間人は殺傷せず、敵兵の殺傷なども必要最小限に抑えて、敵の戦闘能力だけを消し去るクリーンな戦争で始末が付けば越したことは無い。それなら怨恨・憎悪も残らず、テロが誘発されることもない。だが実際の戦争に於いては、適当に見当を付けて皆殺しにするしか方法がないであろう。何となれば、敵は兵力を頭脳や神経から離して、色々な場所にばら蒔いて置くからである。敵が司令部を破壊されても、相手がクリーンな攻撃以上の攻撃をしてこないと思っている限り、そして産業と生活が破壊されない限り降参する事はない。そこで結局、地上軍を派遣し、地上軍対地上軍が戦をするならば、それは昔懐かしの残虐戦争に他ならない。
きれいな戦争などという幻想を抱いても無駄である。
(酷い目に遭うからケリがつくのだ)
クリーンな戦さと称するものは、余裕のある大軍が余裕のない方を懲らしめるときに、兵隊が命を掛けたくないので、圧倒的な戦力をもって敵を滅多打ちにするから一方的にクリーンなのであって、やられる方がクリーンにやられるという事は全くない。
本格的な対等戦争において、互いに約束をし合ってお上品にピンポイント攻撃だけを掛け合ってケリが付くなどという事はない。
仮にそのような約束で戦争を始めても必ず誤爆やその他の間違いや挑発は起き、その瞬間からすぐに昔懐かしの無差別破壊戦争に発展するであろう。
ここでは「やらなければやられる」という妥協のない二者択一的状況が基本だ。
最近は人工衛星により情報を統合し、この統合が生活と産業のインフラも統合しているから、人工衛星破壊線戦がでてくる
衛星の持つこの統合機能が破壊されれば戦力のほかに生活と産業が麻痺して陰惨な結果になるから、きれいでスマートな戦争などはない.