24.目的対手段

イ.テロ~(前提)

以下、テロに関する正邪善悪の判断を前提せず、現象的観点から分析を加えるものとする

ロ.先ず低次元のテロが存在する。

たとえ状況が仮にテロが最悪ではあるが、しかし残された唯一の方法でありえたとしても、その人が自己顕示的、自己満足的なテロリストであるならば、その人はそのように考えを詰めてゆく能力を欠いている。テロをした後、テロ自体がもっと凄惨な報復の応酬や、人々の拒絶反応、より一層強い制圧などを呼び起こす。テロをしたら、その後殺ったやつよりもっと凄い後継者が出てきたり、ひどい場合には()られるいわれのない人が、誤解、逆恨み、焚きつけなどによって「その気にさせられた」馬鹿のために殺られてしまったりする。ロシアにおける暴力共産革命などで代表されるように、殺しで物事を解決しようとする我儘な人種が、破壊の後の正常な建設に成功する筈もない。(そのような実例は未だかって一つもない)実際、殺してしまいたいと思うような事は誰にでも往々にしてある。しかし何か殺してみたとしても、また次のがボウフラのように涌いて出てくるから無益である上に、対立する相手方に対してはその者たちがする報復テロを正当化する口実を与えることになり、しかもテロ集団内部におけるヘゲモニー争奪の争いにまで暴力が導入されるのであるから、簡単に問答無用な世界が現出してしまう.

ハ.テロの中には非常に切羽詰まった種類のものがあり、それは手段対目的に関するさまざまな評論の埒外にあるように見え、我々は驚愕する。

;01.9.11~ニューヨークの貿易センタービルとペンタゴン(アメリカの国防総省ビル)に飛行機で突入したテロリストたちは来世における転生と祝福を信じて晴れやかであったなどといわれている。

しかし彼らが表面切って無差別殺戮テロという手段を、彼らの非力性のゆえに選択してしまったそのことによって、彼らに対する徹底制圧の正当性が喚起されてしまった。彼らの色々な言い分は総てテロをしたことによって抹消されてしまった。そしてそれに変わって絶対悪(=テロリスト、ないしはテロリズム)に対する絶対善(テロにやられた方)の戦いなる想念が示現し、横行するに到った。この正当性に対しては何人も理屈上で対抗し得ないように思わせられるに到った。

(ロシアや中国といえどもであり、彼等はむしろこのテロ事件を契機として彼等が呑み尽し、絶滅させようとしている新疆ウィグル人、チベット人*-(いずれも次ページの地図を参照されたい)-などの彼らに対する抵抗をテロ行為であると断罪する根拠を得たものとこじつけて喜んだ。

そこで大急ぎでアメリカに対して「我々もアメリカと共にテロに対して戦う」などと申し入れたりした。

アメリカが又これに対して「ウィグルやチベット、チェチェンなどの抵抗勢力はテロリストである」などと保証してしまったから、どちらも愕くべき犬畜生共といわざるを得ない。

(しかしロシアと中国がアメリカの対テロ征伐に本腰を入れて加担する筈も無く、アメリカがテロリスト達に手古摺るならば密かに内心面白がるのだ)

(注)1.中国政府の指示にもとづく、中共軍を主力とした中国勢力によるチベット人殺戮の数字は200万人を凌駕するものと推定されている。

(注)2.2009.11オバマ米国大統領が中国訪問、「チベットは中国領であること」を勝手に認めてしまったが、チベットが中国領である根拠は一つもない。チベットが中国とは全く別の国であることは長い時間を通して歴然としている。しかし、八千億ドルという大量の米国国債保有を武器にしての中国の押しに屈した世界の警察官であるアメリカは、中国のあからさまで残忍な領土強奪行為に対して、みすぼらしく弱音を吹いて合意を与えてしまった。

(注)3.新疆における独立啓蒙運動組織「東トルキスタン・イスラム運動」という団体は無差別テロなどというものをしたことが無かった。

然るに中国との密約により、2002.9、アメリカと国連はこの団体をテロ集団であると認定し、中国に対し、中国警察や中国人民軍が彼等を逮捕し拷問する事に対する正当性を与えた。

そのため新疆国は公然たる中国による恐怖政治の地域と化して現在に至っている。

参考資料~「中国こそ東トルキスタンに押し入った泥棒だ」~押田明子~サピオ200061.25

(注)4.ブッシュの対イラク・フセイン戦争を扱った、「攻撃計画」には次のようなやり取りが記を扱った、の「攻撃計画」には次のようなやり取りが記載されている。

[(2002.2.3.24)プーチンがブッシュに電話をかけた。・・・「お気の毒です。同情します」・・・「そんなことはありません」ブッシュは答えた。「すばらしい計画がありますから。でもお心遣いには感謝します」

話しているうちに、プーチンは自分の苦労のことが頭にあるから懸念を口にしたのだと、ブッシュは気付いた。チェチェンでは反政府勢力と血みどろの戦いが続いている。・・・後にブッシュはこう語っている。「真心のこもった電話だった。それ見たことか、という意味合いは全くなかった。ありがたかった」・・・]~(「攻撃計画」~B・ウッドワード~伏見威蕃訳)

(注1.ロシアがチェチェンを支配下に置こうとするのは、イランやトルコ方面からの西側の圧力に対する攻撃と防御、カスピ海石油を搬出するパイプライン拠点の確保などが表立った理由であるが、ロシアの国内権力事情が深層にある。チェチェンに対してその独立を承認し、融和的であろうとすれば即国内権力闘争に敗北する。ロシアは自分達が信頼されていないことを本能的に知っている。チェチェンが独立すれば彼等は必然イスラム文化圏に入るとともに、西側寄りにもなるであろう。

ロシアは、エリツィンが始めた最初の戦争でチェチェンに敗北し、チェチェンの自治権を認めて停戦したが、のちに北コーカサスにイスラム原理主義集団が結集して一帯を支配しようとしたため、再びロシアが侵攻した。)

(注2.チベットにおいて、1949年以降中共に手にかかって殺されたチベット人の総数は、チベット亡命政府発表その他の資料により推定して、200万人をくだらない。

内訳は銃殺、拷問死、餓死、など色々であるが、特にその拷問の猟奇残忍さは、果たしてこのような所業が

人間において可能なものであるかとさえ思わせる。だがそれはまぎれもない事実だ)

(注3.ウィグル自治区は166万KMあり中国本土総面積の35%を占める。しかし、中華人民共和国の一部であるという歴史上の理由を見出すことができない。この地は46回に及ぶ中共の核実験用地として使われ、自治区の住民が実験台に供された。そのため、ウイグル人の癌罹患率は(この地に他駐留、または居住する漢族を含めて)シナ本土に比べて35%高い。現在、現在中国人による入植・ウイグル人追放・搾取・殺戮・逮捕・拷問が進行中)