構成

本論文の全体において国家間暴力の普遍性が証明される。しかし、それは平和が不可能であることを意味しない。

上巻において次の順序で哲学的世界構造が展開される。即ち、世界を支配する対称性が絶対(絶対善、絶対自由、絶対平和、等)を否定することを抽象的に示し、次に具体的な展開を権力と経済という二つの観点から詳しく調べ、特に経済において格差と平等という相反する衝動が我々の中に同居していることが世界に対して経済の無限成長命令を余儀なくさせていることを示す。

勿論、世界経済が無限に成長し続けることは不可能である。

下巻において、我々は地球全体が単一の権力によってまとまりえない世界構造を証明し、次いで国家間関係において暴力が根源的に存在すること、この暴力を矛盾や危険なしで一斉放棄することが不可能であることを証明する。

我々はまた自分自身のうちに根源的に存在する暴力衝動を明らかにする。

それ故、不断の戦力の訓練と緊張と自制においてのみ戦争の抑止が可能であり、こうして維持される平和そのものが非常に脆く、毀れやすいというのが我々の主張であるが、我々はこの主張に対して、あらゆる角度からの厳密な証明を与える。

我々は力一般に対する、抽象的な永遠性を持つ我々の理想を定位するが、この永遠性は、我々によっては到達することが不可能であること、しかしなお、我々にとって最終的な導きの北極星であり続けることをも示す。