10.ミッドウェイ海戦と剣術
a.ミッドウェイ作戦は隙を見せて誘い、敵を攻撃におびき出して迎え撃つ戦術である.
しかし、剣術の場合、相手が強いと、こちらが隙を見せてやろうと心の中で思ったときに、その気持ちが兆しただけで、まだ辞色形容に現れないうちに瞬間斬られてしまうものである.
道場剣術は別であるが、真剣の斬りあいの場合、隙を見せて誘うと言うような技は使えるものではない.
ミッドウェイ作戦では隙を見せようと言う気持ちの段階、即ち、作戦準備段階でそれを察知されたが、斬りあいと違って間合いが非常に遠かったからすぐは斬られなかった.
そして、実際に隙を見せた段階、即ち、南雲本隊がミッドウェイ島を攻撃し、併せ別働機動艦隊がアリューシャン列島を攻撃し、ミッドウェイ島上陸戦艦部隊が「予定により」現場に向かいつつあるときに相手が掛かってきたのだが、それは隙を見せている状態であるからすぐ斬られてしまった.
b.隙を見せるにしても別働隊やおとり部隊で隙を見せるべきで、戦闘の本隊は決して隙などを見せてはならなかった.
11.
・知られているように、ミッドウェイ海戦では島を攻撃して米陸上航空機基地を叩き、ここを無力化し(それがうまく行くことを既定の事実として)、時間を合わせて上陸部隊を乗せた艦隊がミッドウェイ島に上陸することにしていた.この上陸時間まで決めてあり、予期しない変更を通知するには無線封鎖をしていたから出来ず、このスケジュールに束縛されていた.上陸艦隊はそのスケジュールどおりミッドウェイ島に向かっている.
だから機動艦隊としては上陸予定時間までにミッドウェイ島の米陸上戦闘機部隊を始末しておかなければならない.
・しかるに、もうそれが解っていたアメリカ軍が基地の航空機をあらかじめ上空に逃がしてあったので、第一次ミッドウェイ島攻撃隊隊長は空(から)の航空基地に爆弾を落としておいて、最攻撃の必要ありと打電しそのまま戻ってきてしまった.
・南雲機動艦隊司令長官とその参謀達はこれを聞いて米航空母艦攻撃のために戦艦攻撃用の爆弾を装備していた待機飛行隊に陸上爆撃用に爆弾装備を転換させてミッドウェイ島を再攻撃させようとしたが、この爆装転換作業に要した時間が致命的な遅れになり、航空母艦同士の戦闘で後手に回ってしまった.
・このように、ミッドウェイ島上陸のスケジュールに束縛されていたことが航空母艦対戦に遅れを取った原因であるが、上陸スケジュールに合わせないと上陸部隊がひどい目にあうからそうせざるを得なかったのであり、結局二つの目的を組み合わせて物語を作成し、この架空の物語に現実を合せようとしたのが敗因であるが、本当は現実に自分達の作った物語を併せるのが本筋である.
12.型剣術と防具剣術
型剣術は約束を決めて、防具をつけないで攻防の型をするが、
十八代直神心影流の山田次朗吉は、「十中八、九は、華法形彩の豆腐芸で終わる.型で達人になるには用意周到、日常から精神が剣化しなければならない」と言っている
防具剣道は当たっても死なないから、竹刀でする「当て合い遊び」になる.この
山田次朗吉は、「当て合い遊び」に堕落したものを「ササラ踊り」と言って嗤っていたそうである.
さて、この理屈で行くとミッドウェイ作戦は約束事の豆腐芸剣術の型を日本海軍が独演し、アメリカ海軍に読まれて自滅したものということが可能である.