15.
艦長が艦と生死を共にし、負けて艦が沈没するときに救出を拒み一緒に海中に沈むこと
これは本来艦との心中が自己目的なのではない。
「艦を捨てて生還しない」という覚悟が戦争に対する真剣必死な努力を励起する-それが目的なのであり、この覚悟があると反って戦争に勝って無事生還する可能性が増大する。
逆に、「失敗しても生きて帰ってやり直すべきである」という場合は気が緩んで戦争に負けるのだが、そのあと生きて帰って又やっても、又負けてしまうのである。
勿論、この覚悟はあくまで個人の理性の領域に属し続けていて、原理化して人々の教義にするには適していない。
何故ならば、そうすることによってこの決意は強制イデオロギーとなり、後に述べる特攻が「とにかく何が何でも死んで来い」と、その覚悟もない卑怯者(=上位権力)によって強制されるようになってしまった、あの堕落に至るからである。