付記:東条英機の日露戦争成功体験にもとづく戦争観
s.16.8.17~28日、総力戦研究所が机上演習をして日米戦争の帰結を次のように結論した.この結論はその後の日米戦の帰結を正確に言い当てていた.
★アメリカと戦える期間はよくて2年迄で、その後消耗して負ける
★日ソ不可侵条約があるけれどもソ連はこれを無視して対日本戦争に参戦する
近衛文麿と東条英機はメモ取りながら熱心に聞き入っていたが、最後に東条が次のように発言してこの研究結果を封じた.
「日露戦争で勝てないはずの戦争に勝った.実際の戦争において日本は「意外裡の要素」(奇跡とか精神力とか超能力的とか言う意味であろう)を発揮するものである」
これに対して、「意外裡の要素」とは具体的には一体いかなるものなのですか、という反論は、東条の威光に恐れたのか否かは分からないが、誰もなしえなかったようである.
かくして、日露戦争の具体的な成功解析が盲目的な信仰に昇華してそれが歴史になってしまった.この妄想が軍教育において相当に一般化していたものとみられる.