湾岸戦争第一次終結後(1,992)から現在に到る11年間、アメリカの国防予算額は、年間平均値で2,700億ドル前後を示してきているから、ここ11年間の集積で2兆9,700億ドル(約350兆円)である。その間セルビア空爆やタリバン征伐で何分かの蓄積を消費したとしても、それはまだまだ十分ではなく、殆ど焼け石に水に等しく、何かもっと大きな事をしないと、今迄のようなペースでの軍事予算を維持し続けることが不可能であるような臨界点に差し掛かっているものと推定される。

であるから、J・W・ブッシュが9/11テロを、待っていましたとばかりに利用して、イラク、イラン、中国、リビア、北朝鮮、ロシアの七カ国を不倶戴天の悪の枢軸と呼称したのはいかにもとってつけたような感じがした。

更に、第一標的としてイラクを選定し、国際社会の意向をも無視してさえも何としても攻撃しようとして躍起になっているのを見れば、ブッシュがアメリカのConglomerateのどのような突き上げにさらされているかが察せられる所だ。

したがって、あの航空機同時突入テロは、ブッシュにとって絶好の機会(チャンス)であったことは間違いない

*-(その状況証拠めいた事実がいくつかある)-

アメリカン航空110便→貿易センタービル突入ユナイテッド航空175便→貿易センタービル突入

この二機についてはブラックボックス(コックピット・ボイス・レコーダーとフライト・データ・レコーダー)は消滅し、未回収である。

しかし、ペンタゴンを狙ったアメリカン航空077便についてはブラックボックスが回収できたが未公開である。

ペンタゴン突入による被害の痕跡は、航空機によるものとは見えず、また、人的被害が存在しない点、非常に不自然である。

ホワイトハウスを狙ったユナイテッド航空093便は無事撃墜することに成功している。しかし、ブラックボックスを回収できたが未公開である。

一連の襲撃に際して、北米大陸防空総軍司令部の対応は不自然に鈍かった。

実行犯達が航空機教習所に入学し、「飛び方さえ覚えれば着陸の方法などは知らなくていい」などと言っていたという情報は、アメリカの諜報機関が察知していたにも拘らず、彼等を泳がせていた。

また、アメリカやイスラエル、イギリス、その他の国の諜報機関による類似テロの危険性に関する報告を頻繁に受けているにも拘らず、アメリカ政府の反応は極めて消極的で鈍かった。

アメリカの国民はこのことを感じ取りつつある。

アメリカの諜報機関CIAとFBI上層幹部の「退化」ということも、9.11のアルカイダによるテロ成功に寄与している。情報機関の幹部達は,現場から上げられる危機の可能性に関する事実と予感の報告をそのまま受け止めようとしない。

第一:情報機関の上層幹部達は国務省や大統領府に対して、決定的な情報をあげることを、それがもたらす危険性~即ち、「もし間違っていたらどうしよう」、あるいは報告の結果実施される政府の行動が失敗して恐ろしい惨事をもたらすよりは、無難な報告をしてやり過ごしたほうがいい」という出世官僚の抜きがたい性癖にとらわれている。

第二:CIAが国外から得られた情報で、FBIが国内において処理すべき事項に関してFBIに対する通報を行っても、FBIはCIAに対する職業的な反感から,これを軽視する傾向が強い。

第三:逆にFBIからのCIAに対するフォローの要請(たとえば国内におけるテロ容疑者に関する国外共犯者、国外協力者網への調査要求など)を、CIAが、おなじようにFBIに対する競争心から、これを軽視しようとする傾向。

こうしたことがアメリカ政府の、9.11テロの前兆に対する消極的反応の原因の一つになっているという。(マイケル・ショワー~「帝国の傲慢」~2005.3.7日経BP社~松波俊二郎訳)

国連決議抜きでのアメリカによるイラク単独攻撃に関する支持率が27%と低い事がそれを示しているのである。だとするとアメリカ軍はこのイラク攻撃でアメリカ兵の死傷者数が一定値を越えた場合、又は対イラク戦が難航して泥沼化をした場合などにおいて直ちにアメリカ国民の厭戦・反戦気分の流れに対面することになる。アメリカ軍は圧倒的、一方的に滅多打ちをして勝たねばならず、したがって、一般イラク人民の巻き添え殺人ということは不可避であろう。

 *-B・ウッドワードの「攻撃計画」や映画「華氏911」などによれば、ブッシュは9.11直後において既にこのテロとイラクとを結びつける証拠を探せ(=作り出せ)とCIAに命令している。

~(当時のCIA副長官ジョン・マクロリンの証言)
 *-副大統領のチェニーはイラク攻撃について初めから尋常ならざる熱に浮かされていた。

[チェニーは確かに熱に浮かされている、とパウエル(国務長官)は改めて思った。チェニーとウォルフォウイッツ(国防副長官)は、9.11同時テロとフセインの結びつきを探し続けている。・・・チェニーが変わってしまったのが、パウエルは嘆かわしかった。湾岸戦争の時には冷静な策略家だったのに、今はこれにばかりこだわっている。・・・どんな会話をしていても、どういうことに触れていても、アルカイダの話に戻り、イラクと結び付けようとする。・・・](「攻撃計画」)

 *-大統領選においてアメリカの黒人を初めとするマイノリティ人種達(民主党支持者が圧倒的に多い)の選挙権者名簿が意図的に抹殺された。これに対して幾人もの抹殺されたマイノリティ有権者がアメリカの議会で証言したが、その証言は少なくとも一人分の上院議員による署名がないと有効ではない。然るに全ての証言書にただ一人も署名した上院議員がいなかった。ブッシュは、あたかも何か目に見えない大きな力の働きによって大統領選に勝利できたかのようである。

 *-ビンラディンの腹心にして手足、とされている凶悪なテロリスト、アブ・ムサブ・アル・ザルカウィ(人質の公開斬首実行者・無差別自爆テロ推進首謀者として知られていたが、2006.6、米軍特殊部隊によって隠れ家を爆撃され殺害された)は、実はアルカイダに所属するものではなく、ビンラディンとの間にも何の師弟、ないしは朋友関係はなく、米軍に追われてアフガニスタンから逃亡し、イラク北部の山奥にアジトを移していた。

しかも、ザルカウィはイスラム教シーア派の人間であり、スンニ派のサダム・フセインの対立派に属しているのでから、フセインとも何の接触もなかった。しかし、イラク攻撃の理由を躍起になってでっち上げたかったアメリカ政府は、

“ザルカゥイとビンラディンは師弟関係にあり”

“サダム・フセインの協力によってイラクの山中に
 潜伏し化学兵器を製造するなど、活動中である”

と主張し(2003.2、国連におけるコリン・パウエル米国務長官の断言)、しかも、米国防総省が2002年、イラク北部の、ザルカゥイが活動中の拠点を爆撃しようと計画したのに対して、ホワイトハウスはそれを許さなかった。イラク攻撃のための絶好の戦争理由を抹消してはならないと考えたからだ。

[「奴はそこにいた。確かなのにゴーサインが出なかった」と、当時の事情を知るもと情報部員(軍の機密にかかわることを理由に匿名)は言う。

「ホワイトハウスの戦争プランを邪魔するなといわれた」](ニューズウイーク・2006.6.21-「ザルカゥイ爆殺作戦の全貌」より)

アメリカは、南北戦争や対イギリス戦争など初期のものを除いて、今まで三つの大きな戦争をしてきている。一つはドイツナチスとの、ヨーロッパの覇権を巡る戦いであり、もう一つは日本との、アジアの覇権を争う戦争であり、残る一つは共産主義との世界覇権を巡る戦いであった。そして四番目の敵としてテロリズムを迎え撃つ事になる。大きな違いはこうである。

最初の三つの敵はアメリカの外から来た敵であるが、今度の敵はアメリカが自らその種を蒔いた敵である。ヒトラーのナチスは本来、ヒトラーがヨーロッパで侵略戦争を開始しない限り、アメリカの仮想敵ではなく、反共思想においてアメリカの支配層-特にアメリカの東部金融資本-とヒトラーとは当初「共通の価値観」によって結合していた。

始めの二つの敵はドイツ、および日本という明確な意思主体-国家主体と、それが担うイデオロギーとがあったが、テロにはそのような主体が存在しない。何故ならばテロそのものと、テロリストとは単に手段と、その手段を使う可能性を持つあらゆる人々のことなのだからであり、明確に特定できるような意思主体も、イデオロギーもない。

テロリズムとは実在主体ではなく、原理主義的に人間を憎悪する者共、あるいは遺恨憎悪を秘めた者共が選好し、あるいは追い詰められて他に方法を失った者達に残された非常に不幸な方法として、それは方法でしかない。したがって方法を敵として戦う唯一の形態は、方法をいかにも選好しそうな奴等を見つけ出して、言い掛り滅多打ちを加えることである。実際、アメリカは9/11テロの後、取り敢えず彼らの言う無法者国家、~核、生物、毒ガス兵器を世界中のテロリスト達にばら撒く国~としてイラクに邪推の矢を立て、イラクに侵攻、イラクを制圧したが、既に国連大量破壊兵器廃棄特別委員会が証言していたようにイラクからは大量破壊兵器が何もでてこなかった。国連大量破壊兵器廃棄特別委員会のスコット・リッター(アメリカ人)は次のように言う。

「我々はイラク国中を完全に調べて、1,998年までに、イラクでは大量破壊兵器の95%、兵器工場の100%に相当する分量が既に破壊されているのを確認している。今のイラクには長距離ミサイルは勿論、短距離ミサイルを打つ力もなく、核も細菌も毒ガスも持ってはいない。湾岸戦争後、1,991年に査察を開始したときから既にアメリカの狙いはイラクの武装解除ではなく、サダム・フセイン体制を抹殺することにあった。そのためにアメリカは、国連事務総長にアナンというアメリカの言いなりになる人物を据え、このアナンが、オーストラリア人で、これまたアメリカの意に叶っているリチャード・バトラーという人を国連大量破壊兵器廃棄特別委員会の委員長に据え、このバトラーが米中央情報局(CIA)に査察を丸投げした。そうすることによって、査察がアメリカによるイラクに対するスパイ行為に変質してしまった。それで怒ったフセインが1,998年に査察団を追放したのだ」

勿論、このようなやり方によって、時にはテロを一時的に窒息状態にすることが(部分的に)できるかもしれない。しかし、テロという方法自体は永久に生き延びるのである。

このやり方によるならば、

テロリズムを準備し、育成し、援助し、実行しようとしそうな者共を十把一絡げで平らげるとともに、テロリズム容疑者をでっち上げて滅多打ちをするという便法も可能になる。

そして沢山の巻き添え犠牲者を、彼らの憎悪とともに産出し、もって新しいテロリストを生み出し続けるという余禄もでてくる。

したがって、アメリカは滅多打ちもぐら叩きという永久運動の罠に嵌まり込んでゆくであろう。

アメリカは好きな時に適当な対象を捻り出して戦争を仕掛けることが出来るような理屈を物にした、という事もできる訳である。

実際、ブッシュは、我々の味方か、さもなければ敵しかいないといった。言い換えれば、はっきりと味方である事を示し得ない奴は敵と看做すという、猜疑心に満ちた全世界に対する八つ当たり宣戦布告をした。9/11テロに対するアメリカのリアクションは独裁者が示す反応に似ている。実際、アメリカは建国以来独裁者として振舞い続けてきている。

その脅えの蓄積がアメリカの反応に独裁者の示す反応に良く似た色合いを与えている。

私に牙を向く奴は誰だ?お前か?それともお前か?お前達の取るべき道は二つだ。私に服従するのか、それとも私に対する反逆者であるのか。一人ずつ順に潰してやるぞ。疑わしければ罰してやる。

だがもぐら叩きの際限の無さは、アメリカをして、二つ三つの「意に沿わぬ邪悪な国」を滅多打ちに叩き捲って、後はなるべくスマートに引き上げようと苦慮するに到らしめるであろう。

しかし、国民の命と税金を使った以上、経済的、軍事的な利権を獲得しないで引き上げるわけには行かない。

そのようなことをすればブッシュは権力を失ってしまうであろう。

だがこの過程においてアメリカが撒き散らした憎米の種を、それが芽を吹き、成長する前に摘み取ることはできない。

アメリカの同盟国や従属国はアメリカの行う対テロ撲滅滅多打ち戦争が発生するその都度に、軍隊や金を拠出して、その見返りにテロリストたちの憎悪を(お土産として)頂くであろう。

手始めにアメリカはアフガニスタンのタリバンを征伐したが、本命はイラクであり(注2)、アメリカの妄想は、

アルカイダ→イラク→イラクの核→イスラムの核という恐ろしい妄想である。

そして、アメリカのキリスト教原理主義者たち(ブッシュもそのうちの一人だ)はその恐怖と優越の想念とを、イラク攻撃によって表現し、それによってイスラム原理主義者たちの憎悪をかき立てることにより、彼等の妄想を現実化させてしまったのである。

(注)1.~イラクの大量破壊兵器に関する煽動的な、世論誘導記事の一例。

イラク軍拡着々-射程1,500キロミサイル-3年内に可能-米国防総省-核兵器開発「物質」入手なら数カ月

[ワシントン14日=土井達士]「米国防総省高官は十三日、イラクが中距離弾道ミサイルの開発・製造を着実に進めており、2,005年には国産の射程約1,500キロのミサイル配備が可能になるとの見通しを明らかにした。イラクの大量破壊兵器やミサイル開発については、ブッシュ米政権が、サダム・フセイン政権打倒が必要な最大の理由として挙げている。

・・・パウエル国務長官は先に「イラクは既に百五十キロ以上の射程を持つミサイルの発射実験を行っている」と指摘した・・・国防総省高官は又、・・・イラクの核兵器保有の可能性について、「核分裂物質を入手できるかが問題で、(入手できれば)数ヶ月で核兵器が完成する」と警告。・・・」(産経新聞~2,002.9.15)

しかし、イラク戦争が終わった今ではイラクにミサイル開発の兆候が存在しないことが大体の見通しとなってしまっている。

アメリカはこのほかにも色々な情報操作を行いつつある。

特定人への憎しみを人達の中に刷り込むために、著名なジャーナリストに、虚実織り交ぜた情報を巧みに与え、それを書くように誘導する。

攻撃に対する敵の反応をあらかじめ察知しようと謀り、そのために未だしていない攻撃を、もう始めたと発表し、敵の反応や能力を試す。

(イラク攻撃が終った後で)イラクは立派に自助努力を開始し、民主化の道を歩みつつあるなどと広告代理店を使って宣伝する。・・・など。(注:終わり)

(注)2~バクダットが陥落し、サダム・フセイン大統領が処刑され、結局出てきたものは何もなかった。核兵器も化学兵器も見当たらず、対米テロリスト組織との結合も証拠建てられなくなって、あとは石油支配、イスラエルの対イラク戦争要求、イラクの民主化(!)などという散文的な動機だけが残存して、アメリカが自分達自身の手で自分達をも情報操作してまで行ったイラク戦争に対するアメリカ国民の関心は2次的なものになり、もっと本質的なアメリカの原戦争、即ち、アメリカの国土防衛戦争であるとともに、イスラム教対キリスト教という宗教原理主義者間戦争であるアフガニスタンにおける対タリバン戦争のほうにアメリカは回帰した。