ⅴ-イスラエル人(ユダヤ人達)は、全アラブによる憎悪の対象、要らざる侵入者、と見られていて、単にパレスチナ人だけを相手にしている訳ではない。その上、イスラエルに対するアメリカのバックアップは、アメリカにいるユダヤ人たちの財力や、地位、情報能力、集票動員力、などを用いてのアメリカに対する後押しによるものであって、アメリカのイスラエル支持の本質は親身なものではない。アメリカ白人の間には強いユダヤ人嫌悪が根強く存在している。アメリカのイスラエル系財閥・学者・ジャーナリスト、政治家、などの存在がなければアメリカは簡単にイスラエルを見捨ててしまう。
実際、イスラエルの安全補償としてイラク戦争が行われたのだということを、既に引退してもう失うものを持たない、即ち、ユダヤ系の力をもう恐れないですむアメリカの政治家や将軍達が暴露する。
彼等にとって、少なくもパレスチナ紛争などは他人事でしかなくなるわけだ。
(最も次項に述べるような儲け口があるから、アメリカはイスラエル支援を簡単には止められないであろうが。)
イスラエルやアメリカのユダヤ人達はこのような、自分達とアメリカとの関係がシニカルで脆いものである事情を知っている。
ⅵ-アメリカのメジャー(石油産業を中核とした官-産-軍複合体)は中東諸国の独裁政権に軍備増大政策を焚き付け、兵器を売り込むことによって、彼等による中東産油国への原油代金支払い分を回収し、この地域に不穏な情勢を創り出しておいて、紛争を誘導し、本来、中東の人民たちが配分を受けるべきオイルマネーを自分たちの手に取り戻している。
一方アメリカ政府はイスラエルに武器とその製造・運用のノウハウを流出させ、イスラエルの核武装をも黙認するというご都合主義政策によってイスラエルに対しても「喧嘩の出来る体制整備」のお膳立てに協力したから、結局アメリカは中東の地にマッチ-ポンプ行為(火付け役と火消し役を自作自演すること)を行い、武器輸出によって大いに儲け続けていることになる。
アメリカがパレスチナ問題の解決に及び腰である理由の一つにはこのようなアメリカの計算があるのである。
邪推-アメリカの軍需産業の意図はイスラエルとアラブ抗争を望む。それは両方に武器を売ることができるから。そしてイスラエルの方が常に優勢であるように。しかしその差があまりに開きすぎれば両方とも軍備拡張の速度にマイナスの影響を及ぼすかもしれない。
ⅶ-かくの如き次第であるから、アラブ人達のアメリカに対する憎悪の念は暗く、そして深い。
アメリカは最近になってそのことに気付かされてしまったために今度はアラブの民主主義化などと言い出した。今迄アラブの独裁政権がアメリカにとって御しやすいものであったのを棚に上げてである。
だがアラブの民主化はアラブ人達が自分で行わない限り根付くこと不可能であり、そうなっても彼らが親アメリカ的である可能性が保証される訳でもない。
アラブの人々は権威に服従することによってもたらされる秩序が絶対であるという彼らの定理によって生きている。彼らは一人一人が自分を主張しながら全体の秩序に到達する方法である所の、民主主義などという観念をまるで持っていない。何となれば中東の地に石油が発見されて、西欧やアメリカの人々が土地に対する権利や所有の概念をもたらすまでの数万年の間、中東の人達は戒律と王様や長老への服従による秩序によって十分に満足していて、人権・合議・団結などというものは必要がなかったのである。
このような人達の前に(例えば)イラクの国を投げ出して、後はお前たちで民主化して巧くやれと言っても彼らは改めて始めから、ということはむき出しのヘゲモニー闘争から出発するであろう。
そして第二のフセインが現れるまで内乱が打ち続くであろう。実際、イラク人達はアメリカがフセインを倒した後、「さあこれからは自分たちの出番だ」と建国に励むよりも、より多く「アメリカが打倒フセインをしてくれた、その次に、今度は私たちに何をしてくれるのか」というメンタリティであるように見える。職がない何がないと要求はするが、自分たちがどうしようという内発的な気持ちは感じ取れない。