アメリカと極東地域

アメリカは力の国であるから敵対を(あたかも空気のように)必要としている。中国は遅れてやって来て、今から、嘗て先進国がしてきたような軍事覇権的な道を行こうとしている。中国は自分達が嘗ての激突の時代に乗り遅れて、激突に翻弄されて続けてきた歴史に対して怨恨を持つ。

アメリカと中国とが、その経済的な関係の抜き差しのなさにも拘らず、同盟関係に入る可能性はない。両国は互いに互いを必要とし、競争的な敵対者であり続けようとする筈だ。

日本は、アメリカから独立的になればそれだけ一層アメリカとの間の信頼の重要性を悟って行くであろう。アメリカは、アメリカがその気になりさえすれば、日本が、必ずしも従順ではないが、しかしとても信義に厚い同盟国であり続け得る国であるという事を知るであろう。中国とロシアの核はアメリカ本土に標準を合わせ続ける。そのために、いずれアメリカは日本の核武装を認容するだけではなく、必要とさえすることになる。

しかし、アメリカの選択肢は他にもある。それは、ロシア、中国と示し合わせて、アジア地域を共同支配し、利益を分け合うという方向である。だが、その場合でもアメリカは程々に日本を生殺しにはして置くであろうし、日本国内に権利を持っているアメリカの軍事基地を手放そうとはしないから日本の息の根を止め切るということはないが、しかし、そのような状態におかれて日本が何時までも黙っているはずがない。

もしアメリカが台湾と日本を見捨てて中国と同盟的に関係するならば朝鮮はこの両国に迎え入れられるであろうが台湾と日本とは中国の属国となることを甘受してしかこの同盟に迎え入れられる可能性はない。さもなければ台湾と日本が「アメリカ-中国」連合に対する孤立した一国として独自の道を行く事ができるか否かだ。だが中国が台湾島の東西両側の海を制圧するということをアメリカが認めるには、相当に大きな何らかの見返りが中国から提供されなければならない。しかし、中国からの見返りなどに信頼性や永続性を期待することはできない。

米中が組んで太平洋の支配権を2等分する可能性はない。なぜならばそうすることによってアメリカが失うものは(中国を除く)全世界に対するアメリカの存在理由だからである。

もしアメリカがこのような妥協をして引き下がったならばドルへの信頼が世界的に崩れるはずである。

故に、アメリカのIdentityが崩壊しない限りアメリカは太平洋と日本海から出て行くわけには行かないであろう。

(しかし、人種の雑居が進行して、アメリカの白人種、とりわけWASPが衰弱するときアメリカのIdentityクライシスが起きる.そうなれば話は違ってくる)

注:中国の軍人が、中国共産党の密かな承認の下で、次のように空嘯いてアメリカを誘い、かつ恫喝した。

「わが国は核戦争になって国民や兵隊が何千万人死んだとしても平気な国だ。アメリカはこれに対して国民や兵隊の死に関してとても敏感であるから、わが国と核戦争なと゛、到底できないであろう。(ゆえに、アメリカはわが国に太平洋半分の支配権を認めなければならないと言いたいのだ)」

しかし、このコケ脅しは、シナの支配者達が自国の国民や兵隊達に、彼等の大量死を“主君に忠”とばかりに受け入れさせ続け得るか否かにかかっている。

何千万人死んでも云々は党や軍高官達の神経なのであり、大量死する人民や兵隊達にこの神経を共有させ得るものか否か、虚偽の神話を如何にして旨く十六億の人達に浸透させ続け得るものか否か、それが問題だ。

アメリカの現状~アメリカの日本軍事基地は対中国・対ロシアとの軍事対決に対して直接的には備えられておらず、主として情報通信、訓練・寄航・修理・世界展開拠点のうちのひとつ・などとして用いられている。

中国が南シナ海と台湾を手に入れればアメリカの日本軍事基地の脆弱性が増大するが、それでもアメリカは、日本と台湾を拠点として中国と対峙すべきか否か迷っている。その大きな原因は日本の核アレルギーや、反戦・反米的な社会、そして、日本自身の自己防衛本能が、殆ど幼児脳海綿状態とも言うべき衰弱に陥っていることに対する不信である。

そのためにシナが台湾に焦点を定めている500基以上の弾道ミサイルに対抗してトマホークミサイルやステルス爆撃機を沖縄に配置し得ない。

またミサイル迎撃イージス艦を台湾に売却するに踏み込めない

台湾の運命~かつて、中国が蒋介石軍対共産党軍による内戦をしていたときには、アメリカの参謀本部は台湾がアメリカの安全保障にとって重要だとは見做していなかったし、マッカーサーもそう発言している。

アメリカにとって(日本のアメリカ軍基地と)台湾の軍事的な重要性は不変なものではない。

それはアメリカの対中国・ロシアとの関係次第だ。しかし、アメリカが日本の基地を必要とするような対アジア戦略を持っている限り、これと対を成して台湾の軍事的な重要性は存在し続ける。

台湾が自ら中国の侵略に対する備えを行うに熱意がなく,そのためアメリカは台湾防衛から徐々に腰が引け始めた。

台湾が中国の手中に帰しても、それが直接アメリカ本土にとっての痛痒ではないが、アメリカが日本に基地を保有している限り、台湾が中国領になるということは脅威である。

いずれ中国対アメリカ間の経済的・軍事的な均衡と相互協力的な関係が成立するに至ったとしても、アメリカは日本に基地を持っているのに台湾防衛ができないなどとはいえないであろう。

よってアメリカの最適な方法は日本の核武装を認め、アメリカ単独ではなく日本をも対中国(+ロシア)との間の核抑止体制に組み込むことである。

さもなければ日本と台湾を中国の核に晒して、自らは極東から手を引くというまずい振る舞いをしなければならない可能性が出てくる.