準備1.前提条件

1.以下の全推理過程において、国家暴力に対する予めの拒否、ないし選好、というものはない。

この書においては、事実と、そして推理の必然とが命ずるところにのみ準拠して国家間暴力の問題を取り扱う。

2.直接的な明示をしてはいないが、人が真に屈服するのは力に対してではなく正義に対してであるという真実がこの論文の基本的な底流である。

しかし、正義は次のような厄介な本質を持っている。

 a.正義は人の実存や知能のいろいろなレベルに従属する仮面である。

 b.我々は超人ではない。したがって我々の正義は必然的に支配意思をともなう。

支配意思を超越しようとする正義は霧のように蒸発するであろう。だが支配意思を超越しようとする試みを放棄すれば、我々の現実はもっとはるかに酷いことになる。

準備2.抽象的な力一般に関する条件の定位-(再掲)

1.力が強大でなくてはならない

2.それは終りのない鍛錬を持つ

 (系)~超越性を持つ

超越性とは、力の放出(=欲情、快楽、などの理由によって力を行使すること)に対する拒絶をいう。

この超越性なるものは定位の第二条件から直接に出てくるものである。何となれば力の放出は鍛錬(蓄積)に対する正反対の対極にあるのだからである。

(読者におかれては力の行使と力の放出とを混同しないよう注意されたい)