(3).資本
イ.資本が蓄積する原因は搾取にのみあるのではない。資本は搾取分をも含む全階層への総分配の一部を出資という形で諸階層から吸い上げて蓄積する。この事は又、人々がその貢献労働の一部を資本に出資するという言い方もできる。下層にいる人々の中には今の低い待遇が、搾取状態なのではなくて出世する為の貯蓄過程であると感じている人も少なくない。勿論、その感じが結果として正解になるかどうかは又別であるが。
ロ.資本は株式や債券の発行によっても集積するし、銀行、その他の機関による貸し出しによっても(それは直接の資本ではないが)蓄積の土台を得ることが出来る。勿論、借入金のすべてが搾取によって得た金で償還されるわけではない。正当な対価、即ち、能力や時間ヤ労働や工夫などを支払った得た金も含まれている.
ハ.資本は蓄積することによって我々の生存ゲームを多彩にする。資本は分配を回転させることによって分配量全体を嵩上げする。
嵩上げは資本収益や資本利潤の経済社会への還流によってなされる。還流は雇用創出、生産性向上、技術開発、消費フロンティア(未開拓水平線)の開発、などの諸形態をとる。
資本は又、学術、公共財、福祉厚生などにに対してその余力を供出することもある。
資本は新しい価値を創造してこれを売る。
そうすることによって得た収益から新たに労働と資源を掘り起こし、この労働と資源を、他の業種から、他の階級から、他の地域から、他の国から、掘り起こし、または吸い上げる。
分配が経済の動脈である反面、経済の目的が分配を廻すためでもある。分配を廻す為にのみ生産が行われ続けば、生産過剰状態になって需要の不足が出てくる。それでも生産し続けなければならないので輸出をする。輸出は国内の分配を廻す為のもので、輸出をして稼いだ外貨で輸出先の国から何か買うのは当面二の次だ。
国際経済闘争は差別と搾取の争いである。立場の強いほうの国が用心深く、適度に技術や資金を後進国に与える。それも彼等が自分たちに追いついて脅威にならない程度にそうする。
国家としての資本は己の価値の上位性を独占して他国に対して常に債権者であり続けようとするものだ。