権力体の標的と権力体Identityの関係

権力体はその権力体固有の標的を持つ。この標的はIdentityそのものではないがIdentityと密接に結合しており、標的の持つ色々な性質-正義、邪悪、困難さ、公共性、利己、金儲け、力であるのか愛であるのか等-がIdentityの中に投影されている。

権力体Identityは権力の標的や組織形態の柔軟性を保証する。権力体Identityが標的や組織形態などにかかわる色々な権力体の変動を吸収する。

 .権力体Identity示現

権力は権力体Identityが存在することによって成立する。権力体の最高権力は権力体Identityという重圧を引き受けることの軽重によってのみその権力の価値と効力の軽重を体現し得る。したがって権力の質と力はその権力の権力体Identityの質と権力体Identityを担う人々の「担う重さ」に左右される、という法則が成立する。

権力体Identityはその容量に比例した権力の像によって自分を示現しようとする。容量の縮小した権力体は目的権力(後述)と報酬権力(後述)の猖獗により分裂し変質するので、世界史の中で敗北し、滅亡する。

権力体の容量とは何か。それは正義に対する執拗な反省と打診を継続する有効権力(後述)の作用に他ならない。

権力体Identityは、我々の有限性の故に完成することがない。権力体Identityの完成は直ちに、努力の停止→変質→下降という道を辿る。

何となれば完成したと思うことは不完全なものを完全であると思い込むことを意味するからである。

 .単体はIdentityを持つことができない

権力体が単体化して独り暗黒の虚空の中に投げ出されたとすればこの権力体は権力体Identityを失う為に権力体維持のためには恐怖・独裁・硬直という無理非な道具に頼らざるを得ず、したがってまず原祖形権力体に変質腐敗し、次いで新しい権力宇宙を創り出そうとして幾つかの権力派閥に分裂をするであろう。

 .キャパシテイ

大きいIdentity容量を持つ権力体間の闘争は共存的に収まる。なぜならば、両方が互いのIdentity容量を認識することによって同類と認め合うからである。逆にIdentity容量の小さい権力体間の闘争は苛酷なゼロサムゲームとなり、一方が他方を呑み込むか、または殲滅するまで止まないという傾向を持つ。彼等は互いに解り合える部分がないのである。

権力体Identity衰弱の目立った兆候はその不信義と嘘にある。~「あの約束は奴等の時代の約束だ。今は俺達の時代だ」などと平気で言うようになったとき、この権力体は外からであるよりも、内部に置ける自己への軽蔑と自己への不信とによって滅亡する運命にある。

 .擬似Identity-宗教とイデオロギー

宗教やイデオロギーが統治の手段として用いられる。これは擬似Identityの創作であり、過去の誇るに足る追想が存在しないという欠落に対する補填行為である。いずれの場合においても進歩は期待できない。何故ならば、宗教やイデオロギーは本質的に一つの完成を指示するからである。

懐疑、打診、探求は神やイデオロギーへの叛逆と見做されて処罰される。