サガルマータ国立公園(ネパール) | 世界遺産検定のお勉強ブログ(現在休止中)

サガルマータ国立公園(ネパール)

植竹です!

今回はネパールサガルマータ国立公園を紹介します!

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テキスト公式キャッチフレーズ
希少動物が数多く生息する世界最高峰の国立公園
サガルマータ国立公園
ネパール連邦民主共和国


登録年…1979年

英名…Sagarmatha National Park
仏名…Parc national de Sagarmatha


位置…ネパール北東部
経緯…N27 57 55.008 E86 54 47.016
面積…資産124,400ha

登録区分…自然遺産
登録基準…(7)
登録ID…120


IUCN分類…II (国立公園)


公式テキスト分類…アジアの地球生成に関する自然遺産
公式テキスト掲載ページ…第①巻180p
公式サイトユネスコ本部(英語)

概要
ネパール北東部、中国のチベット自治区との国境地域にあるサガルマータ国立公園は標高8,848mの世界最高峰サガルマータを中心とした国立公園です。
あれ?世界最高峰ってエベレストじゃないの?って思った方、
正解なんです。
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この世界最高峰のサガルマータはネパール語での呼び名。チベットではチョモランマ、一般的にはエヴェレストと呼ばれています。同じ山なんです。
※以下、この項の名称に従ってサガルマータと呼びます。




構成
自然面
 ヒマラヤ(サンスクリット語で雪の場所)山脈と呼ばれ、7,000~8,000m級の山々や氷河・渓谷が連なっています。その名の意味の通り、標高が高い為、一年を通して常に雪を頂いています。この山脈の正体は、なんと海底が隆起したもの!その昔、インド亜大陸がプレートと一緒に北上して来て、ユーラシア大陸にぶつかった為、海底が隆起し始め、インドプレートユーラシアプレートの下に潜り込んでいるのでその後、長い年月をかけて隆起してきました。この時、海底に堆積していた生物の死骸や化石もろとも隆起したので、なんと8,000m近くある山々の頂上からアンモナイトウミユリなどの化石も発掘されるのです。こうした化石出土地帯をイエローバンドと言います。ちなみにこの隆起はいまだに続いているので毎年数mmから数cm程度隆起しています。
 過酷な自然環境でありながら、公園内にはユキヒョウジャコウジカなどの絶滅が心配される動物やレッサーパンダ、ツキノワグマなどの希少動物など28種類の哺乳類とイワヒバリなど152種類の鳥類が生息しているほか、植物もヒマラヤの固有種であるブルーポピーアルボレウムといった特殊な種が季節によって咲き乱れます。
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シェルパ族生活圏
 シェルパ族は今から500年ほど前にチベットから移住して来たと言われ、標高3,500~5,000m辺りの地域に居住しています。彼らの住居やチベット仏教の僧院(ゴンパ)や放牧地や耕作地のある集落が点在しています。
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 彼らももともとは放牧や耕作で稼いできましたが、現在では登山隊のポーター(荷物持ち)やトレッキングのガイドになる人が多いそうです。
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歴史
このサガルマータがあるヒマラヤ山脈は
4500万年前
インド亜大陸がユーラシア大陸に衝突して海底が隆起した事によって形成されました。

1500年頃からは
チベットから移住してきたとされるシェルパ族が標高3,500~5,000mの地域に住みつきました。

19世紀後半からは
主に近隣のインドを植民地化していたイギリスの登山部隊によって登山が行われるようになりました。

1953年には
エドモンド・ヒラリーがシェルパのテンジン・ノルゲイと共に初登頂を成し遂げました。
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1979年には
自然遺産として第2回世界遺産委員会会議で世界遺産に登録されました。






特徴
海底が隆起してできただけあって、山頂付近からも海洋生物の化石が出土する事から、地球の歴史を読み解く上で重要なだけではなく、ユキヒョウやジャコウジカなどの絶滅危惧種やレッサーパンダ、ツキノワグマなどの希少動物が生息しているほか、固有種であるブルーポピーやアルボレウムが咲きます。
また、そんな厳しい環境下でありながら標高5,000m地点まではシェルパ族の生活圏となっています。

逸話・伝説
・サガルマータはネパール語で「世界の頂上」、チョモランマはチベット語で「世界の母神」、またヒマラヤはサンスクリット語で「雪の居所」を意味しています。
・エヴェレスト最初の登頂者であるヒラリーは1950年代当時から登山者の存在による自然への影響に懸念を示していて、ネパール政府に5年間の登山家入山禁止措置を求めましたが、ネパールにとって登山料による収益が大きかった為、簡単に応じる事はできなかったそうです。。
・なんと、遭難して亡くなった登山家自身の遺体もそのまんま随所に放置されてるんだとか…。
・登山をする場合はネパール政府に登山料を払うシステムで、15種類ある登山ルートで一番安くても日本円で約240万円もするらしいです…!!

登録基準詳細
(7) ひときわすぐれた自然美及び美的な重要性をもつ最高の自然現象または地域を含むもの。

抱える問題
・世界最高峰であるこの山は古代から神聖な山として崇められ、近代に入ってからも多くの登山家を魅了して登頂挑戦へと掻き立ててきましたが、その反面、登山家が残してきたゴミや、遭難した登山家自身が随所に転がってる為、環境破壊が心配されていますが、アルピニストの野口健などが清掃登山を行っています。
・かつては無計画な放牧や違法伐採、密猟などもあったそうですが政府の政策である程度歯止めが効いているそうです。
・地球温暖化の影響で氷河が解けるなどの影響が心配されます。



関連用語
ヒマラヤ山脈 アジアの山脈で、地球上で最も標高の高い地域である。単にヒマラヤということもある。ヒマラヤは、インド亜大陸とチベット高原を隔てているカラコルム山脈、ヒンドゥークシュ山脈、パミール高原から続く無数の山脈から構成される巨大な山脈である。 ヒマラヤ山脈はブータン、中国、インド、ネパール、パキスタン、アフガニスタンの6つの国にまたがる。いずれも最大級の大河であるインダス川、ガンジス川、ブラマプトラ川、長江の水源となっており、このヒマラヤ水系には約7億5千万人の人々が生活している(これにはバングラデシュの全人口が含まれる)。
プレート 地球の表面を覆う、十数枚の厚さ100kmほどの岩盤のこと。
インドプレート 南アジアのインド・バングラデシュ・パキスタン・ネパール・ブータンなどの国々を含む亜大陸・半島。かつては独立したインド大陸であった。
ユーラシアプレート その語源がユーロ (Euro) + アジア (Asia) にあることからもわかるように、ヨーロッパとアジアとを合わせた地形的に独立した地域を指す。アジアとヨーロッパの境界は人為的なものなので明確でないが、ウラル山脈、カスピ海、大コーカサス山脈、黒海などを境にする説が主流である。六大陸の中で一番大きい大陸である。
アンモナイト 古生代シルル紀末期(もしくはデボン紀中期)から中生代白亜紀末までのおよそ3億5,000万年前後の間を、海洋に広く分布し繁栄した、頭足類の分類群の一つ。全ての種が平らな巻き貝の形をした殻を持っているのが特徴である。
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ウミユリ ウミユリ綱に分類される棘皮動物の一群である。「ユリ」の名前がついているために植物のような印象を与えるが、ヒトデやウニと同じ棘皮動物の仲間である。
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イエローバンド 山頂から8,200m地点までの海洋生物の化石を含む地層。
ユキヒョウ 哺乳綱ネコ目(食肉目)ネコ科ユキヒョウ属(ヒョウ属に含める説もあり)に分類される食肉類。標高600~6,000メートルにあるステップやハイマツからなる針葉樹林、岩場などに生息し、大型のネコ科動物として、また、食肉目としては最も高い場所に生息する。
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ジャコウジカ ジャコウジカ科唯一の属であるジャコウジカ属に属する偶蹄類。シカよりも原始的で、枝角や顔腺を有さず、乳頭は一対のみ、胆嚢、尾腺、一対の牙状の歯、そして人間にとって経済的価値のある麝香を分泌する麝香腺を有する。主に南アジア山岳の森または潅木地帯に生息。
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レッサーパンダ 哺乳綱ネコ目(食肉目)レッサーパンダ科レッサーパンダ属に分類される食肉類。本種のみでレッサーパンダ属を構成する。
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ブルーポピー 青い花をつけるケシ科の植物。
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アルボレウム 赤い花をつけるシャクナゲの仲間。
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シェルパ ネパールの少数民族のひとつ。ヒマラヤ登山支援に携わっていることで世界的に知られている。
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チベット 東経77-105度、北緯27-40度に至る地域を占め、南はヒマラヤ山脈、北は崑崙山脈、東は邛崍山脈に囲まれた地域、およびこの地域に成立した国家や政権、民族、言語等に対して使用される呼称。
チベット仏教 チベットを中心に発展した仏教の一派。
エドモンド・ヒラリー ニュージーランドのオークランド出身の登山家、冒険家である。
テンジン・ノルゲイ チベット人シェルパである。エドモンド・ヒラリーとともに1953年5月29日にエベレストの人類初登頂を達成した。
野口健 アメリカ合衆国マサチューセッツ州ボストン市出身の日本人登山家。1997年に初めてエベレスト(チベット名チョモランマ)にチベット側から挑戦した際、標高6500m地点で積極的にごみ拾いを行うヨーロッパ登山隊のそばで、日本隊が捨てたごみをテレビスタッフと共に見つけ衝撃を受け清掃登山を行っている。
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☆☆植から目線コメント☆☆
世界最高峰の山で、プレート運動の結果として誕生して、いまだに年々標高が上がってるという大自然の力を感じずにはいられないスポットでしけど、地球温暖化の影響もあり、積雪部分も合わせた総合的な高さは上がったり下がったりみたいです。登山家からしたら最高の目標なんでしょうけど、登山しててそこかしこに総計120人あまりの遭難遺体が転がってると思うと…ギョっとしますよね(~_~;)
この遺産もシェルパが暮らしていますが、その文化的な価値が認められれば複合遺産となりうると言えます。ただし、シェルパ族の場合は、伝統的な生活から登山家相手の商売に切り替わってきているのでビミョーかも知れませんけど。

植竹でした。






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