筒井康隆氏の短編に『夢の検閲官』という作品がある。筒井氏自身も日記で「面白いものが書けた」と回想している傑作だ。実は人の脳内には検閲官たちがいて、どんな夢を見させるか内容をチェックし、あまりに刺激的なものは登場させぬよう改変したり、夢の内容を調整、制御している、というファンタジー。

私は「夢日記」をつけている。目覚めた時にスマホのメモ機能を使って内容をメモする。溜まってくると傾向が見えて来て面白い。「俺ってあんな人のこと憶えてたのか」というような意外な人物が登場したり。妻はめったに出てこない。現実世でいつも叱られているので、夢への御出演は遠慮願っているようだ。憧れの女性も出てくるが、キッパリとフラれてしまったりする。著名人がよく出てくるのも私の夢の特徴。
家族や知人と旅行に行くパターンが多い。現実にはいつも一人旅なので、誰かと一緒の旅行に実は憧れがあるようだ。
ストーリーにも定番のパターンがあり、いつも途中でアクシデントがあって大ピンチになり、そこで目覚めて「ああ夢でよかった」となる。私の「夢の検閲官」たちは「こいつにはキツイ夢を見せてこらしめよう」と心がけているようである。
嬉しかった夢もある。上原先生にまた会えたり。なぜか「もう会えない」とわかっていて、ちゃんとお礼を言うことができた。