「横浜vs慶應」の“誤審”を審判団が認めていた? 「2時間ほど話して誤審を認めたと聞いている」 8/11(金) 10:56>配信 

第105回全国高校野球選手権記念大会が開幕した。地方大会ではあまたの有力校が涙をのんだのだが、特に物議を醸したのは、先月26日に開催された神奈川大会の決勝である。疑惑の判定が勝敗を分けたと、SNSを中心に喧(かまびす)しいのだ。慶應義塾高校を2点リードして迎えた9回表、ノーアウト一塁の場面。慶應の1番打者が打った打球は、二塁正面へのゴロとなった。横浜のセカンドは、併殺を狙いショートに送球。ショートがセカンドベースを踏んでファーストに転送し、ツーアウトになるはずだった。だが、 「二塁塁審は、ショートが捕球する際にベースを踏んでいないと判断。二塁に駆け込んだ走者をセーフと判定しました。さらに、1番打者も俊足を生かし、一塁もセーフに。そして3番打者が逆転スリーランを放ち、6対5で慶應が勝利したのです。際どい判定が勝敗を分けたため、SNSでも“あれはアウトだ”“いや、セーフだ”と紛糾しています」(全国紙記者) 上地雄輔も、X(旧・Twitter)で、 〈本当に1プレイで急に進路や未来や野球の道が途絶える事があります〉  などと判定に疑義を呈している。そんななか、さる高野連関係者が声を潜めて以下のように明かす。 「実は、試合後に横浜側と審判団が話し合いを持ったのです。そのなかで、審判団から横浜側に“映像を確認した結果、誤審だったと言わざるをえない。申し訳ない”という謝罪の言葉があったと聞いています」  試合後にいくら審判団が謝罪しても、試合結果は覆らないが、良心の呵責(かしゃく)に耐えかねて謝罪を行ったのか。  この点、神奈川県野球連盟の審判部長に質すと、 「謝罪した事実はない」  としながら、 「試合終了後に球場の控室にいたところ、横浜高校の監督が来て、“先ほどは、どういうジャッジだったのか”と尋ねられてはいます。監督には“二塁塁審は(横浜のショートが)塁を踏んでいないと判断したから、ああいう判定になりました”とは、お答えしました」  誤審は認めずとも、話し合い自体は行ったという。そこで、当の横浜高校の村田浩明監督(37)に尋ねると、 「新しいチームが始まって、前を向いて頑張っているところですし、選手の立場もあるので……」  言いたいことを飲み込む様子で、否定も肯定もしないのである。 だがしかし、ある横浜高校の関係者は、次のように証言する。 「あまりにひどい判定だったので、試合後、村田監督が審判に訴えに行ったんです。当初は誤審であることをなかなか認めようとしなかったようですが、2時間ほど話し合い、最終的には(誤審だったと)認めたと聞いています」  密室のやり取りは詳(つまび)らかではないが、少なくとも横浜側にとって“誤審を認めてもらった”と受け取れるような発言を、審判団がしたとみるべきだろう。  最後に、高校野球に詳しいライターの菊地高弘氏の話に耳を傾けてみよう。 「過去には誤審で大紛糾し、立腹した観客がグラウンドに雪崩れ込んで審判に詰め寄ろうとする試合もありました。誤審対策、さらには審判員を保護する観点からも、監督の要望でビデオでの判定が可能となる“リクエスト判定”を導入すべきでしょう」  過ちを繰り返さない仕組みが必要だというのである。 「週刊新潮」2023年8月10日号 掲載