吉川進の研究本を出して!

 

宇宙刑事シリーズがデアゴスティーニで出るが、

(たしか静岡でのテスト販売版では、スピルバンまで

刊行だったはずだが、全国販売版は宇宙刑事のみ。

といっても静岡版はギャバンの途中で廃刊になったが)

このシリーズは吉川進プロデューサーの最高傑作と

いってよいだろう。

円谷プロ作品の研究本は多いが、東映作品の研究書は殆ど無い。

作品内容が研究に値しないと思われているのか?

たしかにお粗末な部分もあるが(例・「スピルバン」最終回の

クリン星の都市のミニチュア、ドルの頭の上のギャバンの人形)、

光る所も多い作品群と思うが。

吉川氏は2020年に亡くなったが、できれば生前に

詳細かつ広範囲なインタビューを行なって、

証言を遺してほしかったものである。

吉川氏がいかにして強力なスタッフを集めていったか?

脚本の上原、特撮の矢島、アクションの金田、

監督の小林、田中、澤井、造型のレインボー、

デザインの村上、野口、音楽の渡辺、役者陣ではJAC、

作詞の山川、歌手の串田、などなど。

さすがの吉川氏も、キャリアを通じて

各ジャンルで一人探しあてるのが精いっぱいなほどの精鋭部隊。

それら人材の波と、時代の波を見事に噛み合わせて、

一気に集結、焼結させたのが宇宙刑事シリーズだった。

これぞまさに「プロデューサーの偉大な仕事」と称さずして

なんとする。

吉川氏がスタッフを揃えていく過程を「七人の侍」

みたいにして描き、そしてその吉川王国の解体・終焉までを

じっくり描けば、面白い読み物になると思うが。

東映ヨイショは抑えめにして、適度な距離感で

精しく書いてくれるジャーナリストはいないのか。

そういう人が出現しないのは東映作品が魅力に乏しいからなのか。

理想は斉藤貴男が書いた梶原一騎本みたいな感じで。

誰か書いてくれ~。

でも、関係者が次々に亡くなり、現実には無理だろう。

各関係者が遺したインタビュー群を読み合わせて、

自分の中で編集して幻の本を脳内で造って愉しむしかない。