特撮評論家の池田憲章氏が亡くなった。67歳。

池田氏が「ファンタスティックコレクション・

ウルトラセブン」に載せていた「総論」が

非常に好きだった。

その中で氏はセブンベスト3を「狙われた街」

「ノンマルトの使者」「円盤が来た」の3本と

していたが、私は「円盤が来た」ではなく「第4惑星」

だと思う。もしもお会いできたら、その点について

話してみたかった。

氏が雑誌「アニメック」に連載していた「SFヒーロー

列伝」も大好きで、古書店を周ってバックナンバーを

探し、おそらくほとんどの回を収集してあると思う。

(余談:「列伝」掲載じゃない号の「アニメック」には

「特撮カルチャーセンター」が載っていて、

これの「宇宙刑事特集」や「上原正三特集」も

非常な好記事であった)

 

その「列伝」の中でも「怪奇大作戦」が3回にわたって

取り上げられた回が出色の名記事で、文章の最後が

「SRIも、哀しい戦士ウルトラセブンの兄弟だった

のである」と結ばれていたのが今も忘れられない。

チームと個人を「兄弟」と書く、こういう表現があるのかと

当時18か19歳だったが、おおいに感激した。

その直前に「京都買います」についても、

魂を震わすような描写の名文で書かれていた。

上原氏のインタビューがマスコミに載ったのも、あの時が

ほぼ初めてである。厳密にいうと違うけど。

「吸血地獄」「光る通り魔」については、メイクや変身描写を

もっと抑えめにすべきだったと評価しており、

これも正しい指摘と思う。

 

池田氏は、徳島県の図書館で金城哲夫についての講演を

しており、これも採録文をネットで収集した。

金城氏がロッド・サーリングの講演を聞きに来ていた

なんて話はここでしか得られない情報だった。

実相寺氏の著書「夜ごとの円盤」でも池田氏は

実相寺氏と対談していて、すげーなーと思っていた。

実相寺氏が書いた「円谷英二論」の中で、池田氏の言葉を

紹介している箇所があり、実相寺氏から高い評価を受けて

いたことがうかがえる。評論家もそこまでいけば超一流だ。

 

特撮ファンのハートに実にフィットする名文を書く方だった。

ご冥福をお祈りします。