深澤弘さん死去 

 

『ニッポン放送 ショウアップナイター』のアナウンサーだった

深澤弘さんが亡くなった。85歳。

高校時代 この人の「ショウアップナイター プレイボール」を

毎日5時40分から聴いていた。深澤さんが毎日担当だった。

全ての球場と順番に結んで最新情報を聞かせてくれる。

南海ファンには有り難い番組。

田舎に住んでいたので雑音だらけだったが。

すごい集中力で聴いていたので雑音は気にならなかった。

あの集中力で勉強すればよかったのに。

土日はデーゲームの結果を最初に聴ける番組だった。

南海の試合なんか実況中継がめったに無いので、途中経過が

頼りになる。手元にスコアボードを作り、途中経過を聞くたびに

書き入れていく。なんて地味な青春(笑)。

「ショウアップナイター」は他球場の経過を頻繁に入れてくれる

のも有り難かった。南海の試合の情報が途切れると「よもや

得点がいっぱい入ってるのか?」とドキドキしたり。

懐かしいなあ。ネットの無い時代の話である。

当時の私は高校で落ちこぼれとなり、野球とマンガだけが

生きがいだった。

考えてみれば私を野球狂にしたのは水島さんと深澤さん

だった。ニッポン放送は野球中継に力を入れているのが

馬鹿な高校生にもよくわかった。深澤さんが日本一のアナだと

いうのも野球基地外なのでよくわかった。

今でも野球中継を聴いていて、深澤さんが使わない言葉を

使うアナウンサーがいると不愉快になってくる。

「三振を奪い取りました」とか。「三振を奪いました」でしょう。

名前を出して申し訳ないが田中大貴アナ。

深澤さんと関根順三との名コンビが素晴らしかった。

深澤さんの「あるいはホームランか」の名セリフは弟子である

松本秀夫アナが受け継いでいますね。いいことです。

放送ライターになってから、ニッポン放送スポーツ部に出入りした。

バイト6人が、各球場からラインで送られてくる実況を訊きながら

6試合のスコアをつけている。放送に乗らないライン実況は

アナウンサーも最低限のことしかしゃべってない。

あと選手別の試合記録も、わざわざ専用の用紙を作って

継続集計していて、何試合連続とかが

すぐわかるようになっていた。これはすごい人件費がかかっていた

と思う。ニッポン放送はとにかく本気だった。

ネットですぐに記録が調べられる今はさすがにあんなことやって

無いとは思うが。

数年前TBSラジオがナイター中継をやめた。エキサイトナイター。

ラジオがナイターをやめる時代が来るなんて夢にも思ってなかった。

もうラジオでナイターなんてずいぶん聴いてない。

ラジオ野球中継アナウンサーの名人芸も、いずれは消えて

いくんでしょう。さびしい。時代の流れなんだな。

長嶋さんとの交流を書いた深澤さんの著書も読んだっけ。

プロ野球黄金時代の方でした。合掌。