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先日、京浜東北線に乗っていたら、
こんな出来事が……

わりと混んでいる車内。

優先席のほうから、男の怒鳴り声が聞こえ始めた。

「なに携帯いじってんだよ! 優先席で携帯やるんじゃねえよ!」

女の人が、携帯を持って、普通席のほうに逃げてきた。

しかし、中年男Aが追いかけてきて、なおも女の人を
なじり続けた。

A「なに優先席で携帯やってんだよ!
うるせえんじゃねえんだよ。ペースメーカー入れてる
人間にとっては、携帯の電波のせいでペースメーカーが
乱れるんだよ! お前らのメールやダウンロードか知らねえけど、
そのためにペースメーカーの人間は犠牲になれつうのか、おら!
謝れ! 謝れよ!」

女の人「ごめんなさい」

女の人が謝ってもなお、Aは、女の人を叱りつけ続ける。

優先席で携帯やってたら、あのくらい怒られることはあるかもしれない
と思って聞いていた。
そして、この男の人は、ペースメーカー入れてるなら、
普通席のほうに来たら危ないのでは?とちょっと心配した。

するとそこへ、第三の人物Bの声が……

別の男B「お前何言ってんだよ! お前だってさっきまで
ずーっと携帯やってたじゃねえか! 俺は見てたぞ! 
それなのに、この人に言えるのかよ! お前だって、
さんざん携帯やってたじゃねえか!
それでお前この人に何か言えるのか!」

どうやらAも携帯をやってたらしい。そのことを棚に上げて、
ペースメーカー云々ではなく、なにか腹いせというか、嫌がらせで、
女の人を怒っていたらしい。

突然現われたBさんに指摘されて、Aは、なんと言い返すのか……
人々がかたずをのんで見守る。
するとAは……消え入るような声で……

A「ごめんなさい」

B「なにがごめんなさいだよ! さっきまで自分も携帯やっておいて!
人に言えんのか!
お前みたいな奴は電車降りろ! いらねえから!」

A「もう降りるとこです……」

駅に着いて、Aは下車していった。

女の人は、Bさんにお礼を言っていた。
Bさんは興奮したような表情で、立っていた。


Aが「ごめんなさい」と言ったときは、
思わず笑いそうになってしまった。
笑いってのは、「緊張と緩和」だね。