実相寺昭雄展  20110821

発売中の「月刊PEN 2011年9月1日号」が、ウルトラマンの
大特集をしている。
「円谷プロ大研究!」と銘打ってはいるが、ウルトラ以外の作品群への言及は無し。
新発見の事実も無し。
こんな特集意味ないよね、と、買って後悔。
上原正三先生の書き下ろし原稿が載ってるからまだ納得するが、
この内容でそれも無かったらフザケンナだぜまったく!

それはさておき、この記事の情報コーナーに、「実相寺昭雄展 開催中」
とあり、それで、この展覧会のことを思い出した。
行かなきゃなと思っていたが、もう期日は残り少ない。
野球の遠征もあるので、行けるのは今日だけかも。
と思っていたら、運よく、千葉の球場踏破の予定が雨で中止になったので、
「川崎市民ミュージアム」に行ってきました。

ポスターのメインビジュアルに使われている、実相寺氏の顔のイラスト。
センスあるイラストレーターだなあと思っていたら、実相寺氏の自画像でした。
なるほど。入館料600円。

実相寺氏は、自身にまつわる資料を丁寧に保管しているというのは知っていたが、
その威力が十分に発揮された展覧会だった。

怪獣ジャミラの墓碑銘板(金属製)も、初めて実物を拝むことができた。
ちなみにジャミラの没年は(有名ですが)1993年です。

あと、実相寺氏は初期円谷作品を作っていた頃、小学生がよく使う
厚紙製で、白地に緑色の線でマス目が入っている「工作用紙」を
最後のダビング作業の時の作業工程メモ用紙に使っていたようで、
それも展示されていた。
実相寺氏といえば、特異なカメラアングルがよく話題になるが、
効果音の使い方の上手さでも、群を抜いていたと思う。

その「工作用紙」製の、「京都買います」のダビング作業メモも展示されてあり、
欠番になったシーンには「欠」と記入されてあるのだが、
欠番となったシーンでも、効果音メニューが記入されているものもある。
つまり、これによって、どんな順番で欠番にされていったかがわかるのだ。
ちゃんと研究すれば、いろいろ面白いことがわかりそうな展示物がたくさん
並んでいた。
何も新事実がない記事を載せるくらいなら、こういうことをちゃんと調べて
記事にしてくれれば、読者は有難いのですがね。

あと、効果音メニュー表で目立ったのが「生の感じ」という記載。
実相寺氏が、音の演出で「リアルな感じ」「自然な感じ」をフィルムに漂わせる
ことを強く意識していたことがわかる。


私が一番期待していたのは、「ウルトラセブン」の時に、実相寺氏と上原先生が
共作した「宇宙の狸」の生原稿が展示されてはいやしまいかということだったが、
これは展示されていなかった。しかし、実相寺氏のあの保存癖から推測するに、
(なにしろ観た映画の入場券まで保存していたようで、この日も展示されていた)
必ずや原稿は現存するに違いない。いつの日か読んでみたいものである。

非常にセンスあふれる展示会で、行ってよかった。
図録の刊行がなされていなかったのが残念。少々高くても買ったのに。
実相寺氏のイラストをあしらったグッズが多数販売されていたが、
残念ながら私は実相寺氏のイラストには魅力を感じないのである。

実相寺氏の「遠くへ行きたい」や、CMを集成したDVDとか出ないかなあ。
絶対買います。「DVD買います」。