ウルトラマン特番を見た  20110323

今年の元日の夜、BS日テレで放送された2時間特番。
テレビ機器の不慮の故障で観ることが出来ず、友人のK氏にダビングして
もらい、観ることができた。K氏に感謝します。ありがとうございました。

内容は、ほとんど、知っている話だった。
入門編・基礎知識編というところだね。でも考えてみれば、テレビは全部、
そんなものかもしれない。今回は僕が詳しいジャンルの番組だから
それに気づいたというだけのことで。やはり、物事の真髄・奥深い面白さを
本当に知ろうと思ったら、専門書を読まないと。
テレビは役に立たないんでしょうね。

以下、感じたことをいくつか。

成田亨氏の功績を称えるのは良いが、高山良策氏の功績にも触れないと、
まったくの片手落ち(放送禁止用語)ですぞ。

桜井浩子は見ていて不愉快。
自分がトーク上手とカン違いしていて、自信満々なのが鼻につく。
桜井のトークなんて見られたもんじゃないレベルなのに。もっと謙虚になれ。
毒蝮様(この方はあの立川談志が認める話し手だぞ)につっ込むなんて10年早い。
桜井みたいな業界ズレしたしゃべりをする人間は大嫌い。

ひし美ゆり子は相変わらず美人。あれで還暦過ぎとは信じられん。
普通にイイ女じゃないか。
自慢じゃないが私は、ミクシィの日記に「ウルトラセブン」のことを書いたら、
ひし美さんの目に留まり、コメントをいただいたことがあるのだ。
密かな自慢である。(自慢だし密かでもない (笑))

「金城哲夫は、沖縄への想いを作品に込めていたか?」という問いを、
満田、上原、両氏が明確に否定。
これも、今までのウルトラ特番とは違う点である。
(例えば去年のNHK「歴史秘話ヒストリア」で金城が取り上げられた時も、
「金城哲夫は沖縄への想いを作品に込めていた」という見方に徹していた)
僕も今回の番組に賛成。

金城氏の胸の底に在った「沖縄への想い」が脚本内容にはからずも影響したり、
琉球人として、客観的に内地社会を見れる視点が、宇宙人が主人公の物語を書く時に、
知らず知らずのうちに有効に作用したことはあっただろうが、
昨今まで言われていたように「脚本を通して、沖縄への想いを間接的に表現して
いた」ということはいくらなんでもないだろう。
今回の番組における上原氏の発言「金城にあったのは『政治的視点』ではなく、
『宇宙的視点』」。けだし名言である。さすが上原氏、決める時はズバッと決める。

「金城は脚本に沖縄への想いを込めていた」という見方は
市川森一が書いたドラマ以来、高年齢層のウルトラファンに広まった。
さらにさかのぼれば、実相寺昭雄氏が書いた「ウルトラマンを作った男」
「星の林に月の舟」にも、その見方の起源を見ることができよう。
なぜこの見方が中年ウルトラファンにここまでウケたかというと、
そういう理屈をつければ、いい年してウルトラマンファンであることの
言い訳・免罪符になるからである。
(別にいいじゃん。単純にバルタンかっこいい、ゼットンかっこいい、で。
俺なんかそう思ってるぜ。
まあ、かっこいいのは成田・池谷・高山が関わった怪獣だけなんだけどな。
それ以外のものまで認めてる奴は俺には単なる怪獣好きのガキとしか思えないね。
味噌もクソも一緒にしちゃいかんよ)

今回の満田・上原発言は、「作りあげられ、一人歩きしている金城哲夫像」に
惑わされているファンへの、温かい忠告だと思うよ。
(まあ、あの市川森一のドラマがよくできていすぎたんだよな。
確かに、あのドラマはよくできてるよ。)

ただ今回、満田・上原は「金城は沖縄の話を全然しなかった」と証言したが、
市川は「金城は酔うと沖縄の話ばかりだった」と証言したことがあるし、
金城が同僚から「お前は沖縄沖縄と言うが、じゃあお前は沖縄のために
何をしたか」と指摘されたという説もある。これなどは事実とすれば
金城が日頃から沖縄の話をしていたことを裏付けるものだろう。
このへんの食い違いが気になるが。金城は沖縄の話をする相手を選別していたのか?
いずれにせよ、子ども番組の脚本家が高い知性と社会意識を持っていた時代の
話であることは間違いない。今と違って。だって、今の番組の脚本家がどんな話を
してようが、未来永劫誰も興味なんか持たないだろ?

全体としては、上手にバランスをとって、愛情もって、
丁寧にまとめていた番組なんじゃないかな。
でも「ウルトラマン」の企画の経緯を飯島敏宏に話させていたのはちょっとね。
飯島さんは「マン」企画の時期には関わってないからね。