(シナリオ)6羽のかもめ 崕刀魚」◆峅峪偉悄廝娃坑隠隠横

作・倉本聰。6人だけの劇団を舞台としたドラマ。
台本の時点で面白すぎる!傑作!もう何度目かの再読。
シナリオ集には12本掲載されている。倉本作品はあと3本ある。
それも読んでみたいものだ。

「秋刀魚」
劇団員の一人で、子ども番組の主役として売れてきた高橋英樹が、
料理番組に出演することになる。
高橋は、にわか勉強で覚えた「サンマのフライ」を披露するが、
魚の頭を右に向けて皿の上に置いてしまう。
しかも「この置き方は、浅草で鰻屋をやってる母から習った
正式な作法です」と発言してしまう。
テレビ局に抗議電話が殺到する。
高橋はディレクターから母親を侮辱され、そのディレクターを
ぶん殴ってしまう。
局の職員を殴ったことが問題になり、高橋は役者引退も考える。
高橋は実家に帰る。実家では魚はやはり頭を右にして置かれている。
高橋は兄(大滝秀治)と魚の置き方について話す。
兄は「うちではその話題は禁句」だと言う。
兄は「あの置き方は、おふくろの間違いなんだ。でもその件で
オレの嫁とおふくろが言い合いになり、俺がおふくろの味方したもんだから
嫁が実家に帰る帰らないにまでこじれにこじれた問題なんだ。だから、
お前気づいてるか? 俺は魚食った後は、おふくろに気づかれないように、
そうっと骨を頭を左にして置いてるんだ」
高橋は、兄はそんなことにまで気を配って生活しているのかと
感じ入るのだった。
(第一話の設定紹介編。この他にも細かいエピソード多数。
番組の狙うライン(小市民の哀歓)が明示されている)

「花三輪」
劇団のカシラである老女優・淡島千景がテレビドラマに出演することになる。
淡島と共に、かつて一世を風靡した同期の老女優2人イ、ロも一緒に出演なので
張り切る淡島。
ところがリハーサルの日、若手男性人気タレントAが大遅刻。
Aは2時間遅れで現われ、しかもAからの謝罪もなく
リハーサルが始まりそうになる。
淡島ら3人の老女優は「遅刻しといて謝罪も無しなんてふざけるな」と
現場を去ってしまう。
昔の淡島たちなら、テレビ局を相手にケンカもできたが、
今では年老いた彼女たちにそれほどの権勢は無い。
Aのプロダクションは「謝るくらいならドラマを降ります」と強気。
イは、テレビ局の副社長と付き合っているという噂があり、
イも「副社長からガーンと言わせるから」などと淡島とロに息巻く。
その頃、週刊誌の記者が嗅ぎまわり、Aの遅刻は、前の現場で共演者Bが
遅刻したのが原因と判明。さらにそのBの遅刻は、Bのその前の現場で
若手女優Cが遅刻してきたのが原因と判明。女優Cは、淡島劇団員で、
Cは淡島がその日 寝坊して、起こし損ねたために遅刻したのだった。
つまりすべての原因は淡島自身にあったのだ!
事態の収拾に奔走していた劇団マネジャーは困り果てる。
そんなことも知らず、淡島ら3人はイの経営する小料理屋に籠城し痛飲。
イは、とっくに副社長に捨てられていた。
酔い潰れる淡島ら三人。
そして翌日。淡島たちはリハーサルに参加するのだった。
(このドラマで繰り返し表現されていくことになる、時代に取り残された
人物の悲哀が描かれる)

いや~面白い。いったいいつの時代からテレビドラマから
この面白さが失われてしまったのか。
きのう 放送中のあるドラマを覗いてみたが、
この面白さに比べれば糞も糞ですな。