自殺した知人 090410




私には、自殺した知人がいる。



その人は、若い頃から、華やかな業界で大活躍した人だった。


そして30歳を過ぎ、ちょっと、華やかな仕事から遠ざかった時に

自殺してしまった。31歳だった。もう10年以上前の話だ。



彼のことを時々思い出す。

というか、彼は、「よくある顔」をしていたので、

街で、彼に似た人をよく見かけるのだ。

そのたびに、「おやっ」と思う。

それで、彼のことを思い出さざるを得ない状況になってしまうのだ。



彼は、人生の、本当の勝負をしなければいけない時に、

その勝負から降りて、あっけなく自殺してしまったのではないかと思っている。



厳しい言い方をすれば、

若い時に、おいしい思いをしただけに、

本当の人生の勝負の厳しさに おじけづいてしまったのかもしれない。

(でも、本人にしかわからない苦悩があるだろうから、

軽々しいことは言えない)




彼のように、厳しさから逃げてしまうことができたら、

楽かもしれない。


でも、それじゃ、苦しみも含めた、

人生の醍醐味から 逃避しているような気もしてしまう。

苦しみも含めて、「人生」ということだ。




彼のことを思い出すたびに、

逃げたら よくないよな……

と思う。




そういう意味でも、よく思い出す知人である。