至急、精密検査を 081007

先日、肺がん検診を受けた。
何の問題もナイだろうとたかをくくっていたら、
診断結果は「至急、精密検査を受けてください」
というものだった。

かなりびびった。俺 肺がんでもうすぐ死ぬのか?と。

そして先週火曜日 精密検査を受け、昨日が、その結果を聞く日だった。

この一週間、生きた心地がしなかった。
映画を観ても酒を呑んでも本を読んでもぜんぜん集中できなかった。
(酒に集中できないってヘンだなw)
がん闘病体験者の本を読み返したりもした。
あの本は誰にあげて、あの資料はあの図書館に寄付して、とか考えた。

がんだったらそれはしょうがないとあきらめようと思った。

でも意外に…、自分の人生に悔いがないのが自分でも意外だった。

そりゃそうだよね。親孝行もせず、
好きなもの食って、好きな酒呑んで、好きな旅をしたいだけして、
好きな仕事しての人生だったもんな。
(ここで「好きな女とセックスして」と書けないのがツライが。ニガワラ。
まあ でもそう何もかもはうまくいかないよ)
尊敬する先生に会って、ファンとして言ってあげたかったことを
言わせていただくこともできたし。
ここで死ぬなら、今まで好きなようにしてきてよかったと思った。
今までが 我慢の人生だったら、ここで死ぬのは悔いが残って仕方ないだろう。
僕の人生は後半戦がキツそうなので、それ やらないでいいなら
ここで がんで死ぬのも悪くないなと。

ただ、親より先に死ぬのが親不孝だなと思ったけど、
こればかりは、がんになったのは俺のせいじゃねえもんな、と思った。

でも精密検査の結果は、まったく問題なしだった。
俺は肺がんじゃなかった。
あとで調べたら、「要 精密検査」で、がんが発見されるのは
2000人に一人の割合らしい。それでも、2000分の1の
確率だとしても、「死」と向き合うのは初めての体験だった。
しかも俺の場合は「至急」が付いてたからな。

色々な人のブログを見ると、似たような経験をしている人が多い。
たいていの人は、「精密検査でセーフ」の経験を、
面白おかしく書いている。
でも僕は面白おかしく書くことはできない。
実際にがんと診断された人の心境をおもんばかってということもあるが、
今回の出来事は、非常に人生をいうものを考えさせられた。
人生観が変わった。

診断の後、神保町に行って、映画を観て、餃子でビールを呑んだ。
街を歩いた。
こういう当たり前のことができることが、なんと幸せなんだろう!
と思った。
たしか明石家さんまさんだったか、「生きてるだけで丸もうけ」
という名言があったが、まさに実感した。
生きてることはそれだけで素晴らしいんだということを忘れずに
これから(しばらくは)生きていくことができるかもしれない。