金城哲夫「ヒロコとテツオ」 071206

きょう六本木で開幕した「ウルトラマン展」に行ってきた。
入場料1300円。
僕のお目当ては唯一つ、「金城哲夫の創作ノート」。
「セブン」時に、実相寺組用に書かれたプロット
「ヒロコとテツオ」のページが開かれて展示されており、
ようやく念願かなって 一部分ではあるが読むことができた。
他の仮タイトルとして「太陽系結婚」「宇宙結婚式」と
書かれていた。
(以下の概略は記憶に頼って書くので間違えている場合があります)

(概略)
深く愛し合っている若い男女がいた。
テツオとヒロコだ。どこにでもいそうなごく普通のカップル。
唯一つ違っていたのは、テツオが宇宙人だということだ。
しかし、宇宙人だろうと地球人だろうと、若い二人の
愛の障害にはならない。二人は深く愛し合うようになった。

ヒロコはテツオを両親に合わせる。両親はテツオを気に入る。
テツオはヒロコの両親に「僕は宇宙人なんです」と言う。
冗談だと思って笑う両親。
【父親は警備隊長官の友人。地球人にそっくりの宇宙人なんて
本当にいるのかしら、と 父親は長官に調査を依頼する】

実はテツオは、故郷ゾンデ星で次の王になる立場の人間だった。
しかし、いじわるな継母が、自分の子に王位を継がせるため
画策し、テツオを追放して地球に島流しにしたのだ。
地球には同じように島流しにされたゾンデ星人が4人いる。
【警備隊はテツオのことを調べ始める。探偵役はダン】

ついにテツオが宇宙人とバレる。「まさか本当だったなんて」
ヒロコの両親は二人の結婚に反対する。
ダンはテツオのことを調べるうちに、二人の愛を成就させて
やりたいと思うようになっていた。

地球にいるゾンデ星人が宇宙船を作った。「この船でゾンデ星に
帰ろう」。その船は5人乗り。テツオは6人乗せたいと言う。
ヒロコをゾンデ星に一緒に連れて行きたいのだ。
仲間は宇宙船の改造はムリと断る。テツオは「それなら僕は
ゾンデ星に行かない、ヒロコと共に地球に残る」と言う。

宇宙船は6人乗りに改造された。しかし宇宙船は発射前に爆発して
しまう。ゾンデ星・継母派のスパイの仕業だった。
テツオの仲間は、爆発をヒロコのせいではと疑う。かばうテツオ。

二人が愛し合っているのを見て、ヒロコの両親は結婚を許可。
警備隊がホーク2号を貸して、テツオ・ヒロコらはゾンデ星に
向かう。


(読めたのはここまで。他のノートがかぶさっていて続きは
読めなかったが、宇宙旅行の途中でゾンデ星人・継母派の手下の
怪獣が襲ってきてセブンが撃退するというような展開のようだった)

(感想)
まず非常に金城さんぽいプロットだなと思った。

そして地球人と宇宙人の間の愛、という点で
佐々木守作品「遊星より愛を」の影響も感じられる。
(どっちが先かはわからないけど。)
これが作品化されていたら、
また一本「セブン」に傑作が生まれていただろう。

B5版のノートに細かい文字で延々と行を空けずに書かれている。
この人の物語を紡ぎ出す才能はすさまじかったのだなと感じる。

気になったことがあった。上に書いた内容のうち、ほとんどは
ノートの見開き2ページのうち、左側のページに書かれていた。
しかし、【  】で囲った部分は、右側のページにポツリポツリと
書かれている。
つまり、金城氏は、テツオとヒロコにまつわる部分を
左側のページに延々と書き、それに警備隊やダンを
いかに絡めるかの部分は右側のページにポツリポツリと書いているのだ。
おそらく、金城氏は まずテツオとヒロコの物語を考え、
その後で警備隊やダンの絡め方を考えたのだろう。
しかも、警備隊やダンがごくごく自然に絡んでいる。
まったく驚きである。何という離れ業をするヒトなんだ!
普通のストーリー発想法とは全然違うのではないだろうか。
びっくりした。さすが天才である。

あと気になるのは、このプロットが書かれた時期はいつなのか?
ということだ。
実相寺組用ということは、「セブン」のごく初期、
もしくは終盤しかない。
しかし、これは完全にゲストキャラクター中心の話であり、
メインライターである金城氏が「セブン」序盤で
こういう話を書くとはちょっと想像しにくいのだが…。
これはノートの前後のページを見ないと判明しないことである。

「金城創作ノート」はファンにとって興味津々である。