少し前、最高に幸せな夜があった。


側にはふたりのひとが居て、

そこにめんどくさい男女の関係や暑苦しい友情みたいなものはなく、

完璧な距離感で、

ただふわふわと夜の波間を漂うような心地好さだった。


酔いに任せて普段吸わない煙草を一本貰って吸うと、

日々の漠然とした不安が煙と一緒に消え失せて、

ほんの短い時間だったのに、

永遠を感じたりもした。


その夜のまま、

それ以上踏み込まずに居たら、

なんならその後二度と会えなくても、

思い出すだけで心に火が灯るような夜になったと思う。


でも、私という人間は本当に下手くそで、

気分でうっかり距離感を間違えたりする。


昔からそうなんだよな、とさっき散歩しながら考えていた。


一歩も二歩も三歩も先回りして気を使いまくって遠ざけたり、

脳が突如暴走して妙なことを口走って困らせたり、

勝手にヒートアップして重た過ぎる打ち明け話をしたりする。


相手を知りたいとか自分を知って欲しいとか、

純粋に仲良くなりたいだけなんだけど、

欲深いというか、どうも上手くない。


そんな私にも友人と呼べるひとはいて、

「私のまわりのひとはみんな優しいな」と思っていたけど、

何かの本でこの発言をした主人公にその友人が放ったひとこと、

「優しいひとしかあなたとは付き合えない」というのが真実かもしれない。


言ってしまったことも、してしまったことも、

無かったことにはならない。


あの夜の記憶は容赦なく薄れて行くのに、

胸の痛みはちっとも軽くならない。


それでまたこのチクチクした痛みを、

「あ、これでまた一本書けるな」みたいに感じても居るから、

つくづく私は懲りないと思う。



まあね、

真夜中のセンチメンタル発動していますが、

元気なんですよ、すごく。


この文章を綴りながら、

せめて今あるご縁は大切にしようと思いました。


と、ここで大あくび。


みなさま、おやすみなさい。