個人的な評価★★★★★★★

客観的な価値★★★★★☆☆

 

 

リンカーン コンチネンタル カスタムスペシャル 神宮寺宮型四方破風大龍造り 霊柩車

1980年、ヨネザワ。

 

これはミニカーを集めている人であればわりと見たことがあったり、知っているという人も多いと思いますが、見ての通りの霊柩車のミニカーです。

「働く車?」のカテゴリーでは究極のキワモノであり、感覚的に禁忌とされる場合もあるかと思います。

そのため、この商品の制作や販売にあたってはヨネザワさんもだいぶ気を使っていたようです。

霊柩車のミニカーは一部の海外のメーカーでも製品化されており、私はこういうものをミニカーにしてもかまわないと思いますが、「見たくない」とか「縁起が悪い」などの理由で否定的な人の気持ちも理解はできます。

 

 

 

考えてみればこういった外観の霊柩車というのは平成以降生まれの人にはあまりなじみが無くて、中にはお神輿か何かと勘違いするような人もいるかもしれませんね。

昭和の時代にもさすがにここまでゴージャスなものはそうそうありませんでしたが、霊柩車自体は救急車やパトカーのように日常的に目にする可能性がある車両でした。

今でももちろん走っていますが、それは昔のように大きな特徴が無く、隣を走っていても気が付かないということが多いのだと思います。

なお、いわゆる「宮型霊柩車」が無くなってしまった主な理由は平成になった頃から火葬場を新設する際に自治体が周辺住民に配慮して宮型霊柩車を出入り禁止にするケースが増えたためです。

私の地元ではよく「霊柩車を見たら親指を隠せ」などといわれていましたが、こういった風習というものは地域によってだいぶ違うことがありますので、参考までの話として記載いたします。

 

これはミニカーとしては非常に良く出来ていると思います。

箱はサクラのワールドフェーマスカーシリーズと同じように赤色に金の文字という立派な作りで、やたらとゴージャスな感じがします。

 

実は私はこのタイプのリンカーンコンチネンタルの「未使用時にぴったりとフタをしたような状態になっているライト」がどういう仕組みで開くようになっているのかがずっと疑問だったのですが、このミニカーを買って初めてそれが理解できました。

子供の頃は「運転手さんが毎回車から降りてカバーを外すんだろうか?」とか、「昼用の車で、ライト自体が封印されていて使えないんじゃないか?」とか、本気で想像していたものでした。

 

 

なお、私は中古購入で安い物を買ったので付属していませんでしたが、新品にはお守りとあいさつ文が付属していたようです。

付属のあいさつ文に関しては、ネットで拾った画像とともに、原文を手打ちして以下に書き置くことにいたします。

 

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ミニチュア霊柩車発売に際して

霊柩自動車専門制作

株式会社 米津工房

社長 米津三郎

 

物を運ぶことは人間に限らない。

しかし人間はそれを機具による手段を使うことに成功した。

まずソリ、そして車輪、さらに自動車。

さて葬という儀式を行うのは人間以外にはない。その儀式は富貴を問わず、この世との惜別の儀式として、それは荘厳であり、丁重であらねばならない。運ぶ事と前記の要求が霊柩車の作られた要素と言へよう。

残念ながら霊柩自動車の創始についての明確な記録はない。

 

このミニ霊柩車は「神宮寺宮型四方破風」と称してありますが、葬には宗派が介入します。そこで私は神社にあらず仏閣にあらずと言う建築様式と自動車とを結合させ荘厳優美を保持し、且自動車としての諸法律に適した型としてこのようなものを完成致しました。

屋根装飾の竜はもちろん架空の動物で、あの世へ行く方々の従者(守護)を意味して居ります。

この度、米澤玩具さんが当社の霊柩車をモデルとしてミニ化するに当り、私どもは出来得るかぎりのアドバイスは致しましたが、ここまで完全に近い形に完成した米澤玩具さんのスタッフの方々に心から敬意を表します。

198010

 

 

 

ダイヤペット発売15年を期して、この間の発展に力をかしていただいたコレクターの方々にお礼の意味をこめて特殊車の限定販売致すことになり、以前から海外のミニカーコレクターより日本のスペシャルティカー霊柩車のモデル化を要望されていましたし、日本のコレクターからも実現は無理かも知れないがと迄言われながら少なからず要望がありましたので、ある意味タブー視されていた霊柩車のモデル化を実現させることになりました。

霊柩車は株式市場関係の人、相撲界、芸能人、水商売などの人たちがこれに会うと縁起が良いとされていますが、一般的には何となく忌みきらわれる面が強く、発売にあたり私どもの気持ちとして「お守り」を一体おつけして気持ちよくお求めいただける様にいたしました。

 制作にあたりましては現在の霊柩車の型を創出した、米津工房の米津社長様のご指導をあおぎようやく完成いたしました。

 私どもではあくまでもミニカー愛好家の方を対象として制作したものですから、販売に際しても限定された形をとりますので、一般の他のミニカーとは別のものであることをご理解いただきたいと存じます。

 

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