無罪放免の反省記 -3ページ目

病院について


私は病院が嫌いだ。


これは単純に恐怖心からなるものだ。




病院はいつの時代も

憂鬱で退屈で、恐ろしい場所である。



いくら看護師の笑顔が素敵だろうが

病院は恐ろしい。




待合室の人々の顔面の恐ろしさ。


食堂の貧相な料理の恐ろしさ。


夜、廊下から伝わってくる恐ろしさ。


白の恐ろしさ。





先日、高熱を出したことで

久しぶりに病院を訪れたわけだが、


その恐ろしさといったら!!

 




そのとき


私のいかにも大人風な面の下には、

恐怖に顔を歪ませ

汗でドロドロになった面が隠れているのである。



悪寒について


昨晩

生まれてこのかた初めて、悪寒というものを体験した。




冷たい幾つもの手で

両肩を押さえつけられているような感覚。


体が委縮し、毛穴が開いたり閉じたりするのが分かる。


心臓の所在を実感として得る。


呼吸をすることが自然であると同時に

不自然な行為であることを知る。




悪寒が去った後も、その冷たい手の幾つかは

私の脇腹あたりをさするようにして


耳もとで囁きながら


甘美な世界へ引き込まんと

再び私を誘惑する。


私は目をつぶり

耳を塞ぎ

口は塞がずともそのときを待った。





しばらくすると

掌が燃えるように熱くなり始めた。


彼らはようやく

私の体から去っていったようだ。




私は立ち上がり、


台所へと

水分を求めて行くのである。