みなさん、こんにちは。

衆議院議員うえにし小百合です。


私は以下の四つの点において、

「安全保障関連の法案」は

“賛成はできない”と判断し、

今日の本会議の賛成側・反対側の討論が

終わった時点で退席しました。


一つめの理由は、強行採決に見られる
「自民党・公明党の強引な政治手法に抗議する」ためです。
これでは、日本国民・国会よりも先に米国議会で
安倍首相が「この夏までに安保法案を可決します。」
とご発言された姿勢から読み取られるままで
“国会軽視・国民軽視”ではないでしょうか。

戦後の平和国家の歩みを否定し、

いつでもどこでも自衛隊を海外に派兵するという

日本の安全保障政策の一大転換となる法案について、

世論を無視してあっさりと審議を打ち切り、

しかも強行採決を行うという政治手法は、

大きな疑問を感じますので、それに対して、

断固たる抗議の意志を示すためです。


二つめの理由は、きのうの委員会において、
安倍首相自らが「国民の皆さまのご理解が
進んでいないのも事実だ」と認めたのをはじめ、
自民党議員からは「消費税や年金と違って、
国民生活にすぐに直接影響がある訳ではない。
法案成立すれば国民はすぐに忘れる。」
という旨のとんでもない発言もあったと伺っております。


NHKや朝日新聞をはじめとする各種世論調査においても、
66%の国民が「今の国会において法案を

成立させる必要はない」(朝日) としている他、

56%の国民が「審議が尽くされていない」(NHK)
と判断している等、国民が成立を望んでいない、
審議が尽くされていない法案
であることは厳然たる事実ですから、
さらに審議を続けるべきと考えるためです。


三つめの理由は、64日の

衆議院憲法審査会の参考人質疑において、

与党推薦の学者を含め全員が今回の法案は、

これまでの政府見解では説明がつかず、

「違憲=憲法違反である」との見解を述べたことをはじめ、

審議をすればするほど問題点が

浮かび上がってきていることもあります。


まず、「立憲主義」とは「権力者が暴走しないように、
憲法によって権力を制限し、国民の権利・自由を擁護する」
という近代社会において最も基本的なルールです。
安倍首相は集団的自衛権を行使するために、
これまでの政府の憲法解釈を変更し、立憲主義を自ら否定し、
安倍首相自らがそのルールを破っているわけです。
その点をほとんどの憲法学者や内閣法制局長官の
経験者らがこぞって指摘しているわけです。
現在の日本をとりまくアジアの状況を鑑みれば、
日本はしっかりと自国を自分の力で護ることが
できる国にならなければならないのですが、
その方法が「違憲」あってはならないのです。
今回のような“解釈変更”での対応では、
例えば政権交代があった時、首相が交代した時、
その都度日本の方針が変わることになりかねず、
またもや日本は国際的な信用を失うことになります。
本来であれば、きちんと憲法改正の手続きをとるべきなのです。


法案の審議においては、「集団的自衛権の行使」について、

安倍首相らは「総合的に判断する」と繰り返すのみで、

未だに明確な基準は示されていません。

また、「自衛隊の活動範囲」についての答弁も曖昧で、

今のままでは「際限なく派兵が行われる」恐れがあります。

そのような形で自衛隊員が後方支援に参加をすれば、

自衛隊員のリスクは勿論、日本国民へのリスクも

今までよりも拡大する訳でありますが、

安倍首相はそれすら見て見ぬふりをしようとしているのです。


四つ目の理由は、自民党議員が行った勉強会における
数々の発言と安倍首相の姿勢です。
批判的な報道機関に圧力をかけるべきだ等の
戦前の言論統制に通じる動き、
言論の自由を揺るがしかねない状況が生まれました。

委員会審議においても、
戦前における指導者の政策判断の過ちや
憲法との整合性を問われた安倍首相が
時折薄ら笑いを浮かべながら答弁している姿を見て、
私は戦慄を覚えたことを皆さまにご報告致します。


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本日の本会議において、私や

野党各党の議員が抗議の退席をした後、

法案は自民党・公明党等だけで採決され、

参議院に送られました。


参議院は「良識の府」です。
もう一度、「立憲主義」とは何か、
衆議院の審議では明確にならなかった法案の問題点等を
徹底して議論して欲しいと思います。