ご迷惑をお掛けいたしております
日曜日の決まり事、入院中の退屈しのぎである中年オヤジの戯れ言に少々お付き合い頂きたい
本日は初めて話す村純の広報担当「M」の造園との馴れ初め
少々恥ずかしい青臭い話(アホくさい)を暇つぶし程度にご覧あれ
普通のサラリーマン家庭で育った私が、なぜこの業界に足を踏み入れたのか
あまり自慢できるような動機ではない
決してこの業界に志や興味があった訳でもない
そもそもごく一般の家庭で普通の学生生活を送っていた私に、造園屋とか植木屋と呼ばれる業種の人との接点など全くなかった
子供の頃から遊びごとが忙しく、勉強や習い事には無縁だった
おかげで高校も人より一年多く通ったくらいで、自分の進路についても深く考えたことがなかった
自慢にならないが、周りが高校卒業後の進路を考え始めた時期も進路指導室など一切縁がなかったのも事実だ
親や兄弟、友達にも真面目に相談したことがなかったように思う
高校時代、就職コースだった私は進学の為の勉強などしていなかったし、勉強するという行為自体を軽蔑視していたような気がする
そんな私が進路選択のギリギリになって進学を選んだのは、甘酸っぱい青春の力が加わったからである
青春時代のこと、当時お付き合いしていた彼女はしっかりとした将来像があり、それに向けて進学コースで勉学に励んでいた
その彼女や親御さんに対して背徳感や劣等感があったのは間違いない
好きな人にどうにか自分を認めてもらいたいという気持ちがあった
純情な気持ちが心を動かしたと言えば聞こえも良いだろう
勉強などしたことがない私が今さら進学…と皆が驚いた
高三の夏の終わり掛け、初めて進路指導室に足を運んだ
後にも先にもこの一回が進路指導室に入った貴重な経験ではなかっただろうか
担当の先生に進学について相談したところ、少ない学科で試験がある学校を教えていただいた
それが造園学校である
試験科目が少ないとはいえ、そんなに簡単に物事が運ぶはずもなく、苦労したのをよく覚えている
そのとき生まれて初めて人並みの努力をしたような気がする
甘酸っぱい力が思いのほか作用して、奇跡的に志望校に合格することが出来た
残念ながら第一志望の緑地工学コースは不合格だったが、第二志望の造園芸術コースに合格した
入学してみると不合格だったコースとほぼ同じ授業内容であったのは笑い話だ…
しかしながらここでも勉学に励むことはなく、安易な日々の過ごしかたをしてしまうことになる
この学校の生徒の大半は造園業者の倅で、将来「親方」や「社長」と呼ばれる人達で占めていた
志が高い者のなかには、造園科がある農業高校に通って進学してきた者もいた
そんな領域の話が分かるはずなかった
正直言って授業の内容に全くついていけなかったし、興味も湧かなかった
そんな風でアルバイトと遊びに明け暮れ、あっという間に日々が過ぎていく…
入学して半年程が過ぎたあたりで私の態度を見兼ねた研究ゼミの先生から、「お前はこのままだったら学校を辞める。造園というものを知るために俺の教え子のところにアルバイトに行ってこい!」と、忠告された
優しい先生はアルバイトに行くことを条件に、受け持ち学科の単位修得まで約束してくれた
約束された単位修得とお金のためとはいえ、興味のない造園会社の門を叩くのは非常に心細かった
夏休みが始まり、渋々アルバイトに行くことに…
そこでの主な仕事内容は、夏休みの時期を利用して発注される公立小学校や中学校の樹木剪定業務
業務のなかで私が任された作業は、職人さんが剪定した枝葉をひたすら集めてトラックに積み込むという単純なものだった
単純作業とはいえ、真夏の炎天下での作業は想像を絶する程しんどい
幸い昔から運動部に所属していたので体力には多少自信があった
そんな自分は仕事中のきつさよりもむしろ終わった時の達成感や爽快感のほうが勝った
若かったのである、仕事後の程よいけだるささえ心地よく感じられた
また、机上で習った内容とは違って業務の全てがとても新鮮だったのも覚えている
そちらで一ヶ月以上働かせていただき、アルバイトの最終日に学生の身分である私が見たことがないような大金を手にして喜んだのを昨日のように覚えている
それからというもの長期の休みがある度にこちらから電話してお世話になった
回数を熟していくうちに卒業後の受け入れまでお約束して頂いた
その後はアルバイトを通じて幾分か「庭」や「植木」に興味を持ち始めたが、学校の勉強のほうは相変わらずだった
先日外出した時、実家に立ち寄ったときのこと
その日は天気も良く、縁側に差し込む温かい光に誘われ何気に裏庭を覗ぞいた
そこには老いて少し小さくなったように見える親父の姿があった
春の日差しを浴び気持ちよさそうに庭いじりをしているのだ…
しばらく眺めているうちに幼少期へタイムスリップしたかのようにノスタルジーに浸る
-思い出した真の原点-
幼いころ家族と一緒に庭いじりしたのが私の造園の原点かもしれない
未だに春の土の香りを嗅ぐと幼いころの想い出が蘇り、無性に切なくなるときがある
決して嫌な感じではない、むしろ家族の愛情や温もり、懐かしさの表現の仕方とでも言うべきだろうか
あの時のけだるさと一緒で口では上手く説明できない心地よさだ
幼少期に両親や兄弟と一緒に庭いじりをした実家の小さい裏庭
想い出の庭は相変わらず小綺麗にしてあった
実家の春と言えば…母親が好きだったハナダイコン
懐かしさを感じる花だ
子供のころ嫌いだったキンカン
朝からよくちぎらされていた
所狭しと植えられた野菜
新タマネギが旬を迎える頃
そろそろ収穫時期か?
色んな進路がある
志望する進路への動機が不純であったり、はっきりしてないこともある
職業や職種なんてなんでも良い、大切なのはそこで真剣に打ち込める何かを見つけることが出来るかどうかだ
どこでどう興味や遣り甲斐が芽生えてくるかは人それぞれである
言えるのは「出会い」や「縁」によって人は変わっていく
きっかけは案外ひょんなことから始まることもある
もしかすると幼いころに造園という道に進むのは決まっていたのかもしれない
何度も転職を重ねて遠回りをしたが、今は天職に就けたと心から思っている
未だにきついことや辛いことばかりだが…
後悔しているのは、学生時代に製図や測量、積算、植物学をもっと真面目にやっておくべきだったこと
唯、同じ職種の同じ悩みや喜びを共感できる同志を持つことが出来たのは最高の幸せだ
高い学費を支払ってくれた両親に感謝しなければ…
あの頃、庭いじりを一緒にしていた親父の歳はもうとっくに越してしまったなぁ
おーもうこんな時間か
そのまましれ~っと一押しお願いします‼
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