「由衣、おまえの銃を捨てろ!」
兵士は言った。
由衣は仕方なくレーザー銃を捨てて、手をあげた。
「本部、応答願います。上原由衣を捕獲しました。」
ペンギーはすぐに、男が由衣の敵だと分かったらしく、「ガァ、ガァ!」と騒ぎ始めた。
「うるさいっ!」
兵士は叫んで、レーザー銃でペンギーを撃った。
レーザー銃はペンギーの腕をかすった。
「キュー、キュー。」と鳴いて、痛そうにペンギーは海へ向かって逃げ、海水に飛び込んだ。
「ふん、所詮は畜生だな、情けない。」
兵士は軽蔑するように、笑った。
「どうして、こんな所まで私を追ってくるの?!」
由衣は言った。
「おまえの存在は、われら新人類にとって危険なのだ。おまえは歴史を塗り替えようとしてるのだろう?」
その時、本部から連絡がはいった。
「でかしたぞ、上原由衣はすぐに射殺しろっ!繰り返す、すぐに射殺しろっ!」
「聞いての通りだ。」
兵士は由衣に銃口を向けた。
由衣の腕時計が赤く点滅し始めた。
(あぁ、私はここで死ぬんだなぁ・・・。 そして人類は絶滅するんだ・・・。)
由衣は自分の運命に覚悟を決めた。
その時、
「うん? あれはなんだ?」
兵士は海を見て言った。
遠くで海の表面が盛り上がったかと思うと、その盛り上がりが、物凄い速さでこちらに向かってくるのだ。
明らかに、何かが海面の下でこちらに高速でやってくる。
そして、海面から巨大な何かが飛び出した。
ペンギーだった。ジャイアントペンギンが海面から、大ジャンプしたのだ。
由衣は驚いた。ペンギーが空を飛んだように見えたのだ。
「あっ、しまった!!」 兵士は銃をペンギーに向かって撃ちまくった。
レーザーはペンギーに当たったが、ペンギーの体は兵士に体当たりした。
ドンッっと鈍い音がして兵士は倒れた。
ジャイアントペンギンの体重は100キロ以上ある。体当たりされて、無事ですむはずがなかった。
「ぺ、ペンギー、ペンギー!!!」 由衣はペンギーに駆け寄った。
「キュー、キュー・・・。」 ペンギーは仰向けになって、苦しそうに鳴いていた。
兵士も苦しそうに叫んだ。
「チクショウ、、あばらが折れた、、憶えてろよ・・・」
兵士はタイムトラベルのスイッチを押して消えて行った。
「ぺ、ペンギー、私なんかを助けるために、な、なんてことを・・・。」
「キュー、キュー・・・。」 ペンギーの鳴き声は小さくなってきた。
すると突然由衣の腕時計の赤い点滅が速くなった。
(こ、この点滅は?! まさか、、、絶滅するのは私じゃなくて・・・?!) 由衣は青ざめた。
「ペンギー、お願い、死なないで!!」 由衣は泣きながら叫んだ。
「キュー、・・・。」 ペンギーはついに息絶えた。
腕時計の赤い点滅も同時に消えてしまった。
「うぅっ、ペンギー・・・。」由衣はいつまでも、ペンギーの体にうつ伏せになって泣いていた。