適材適任の学び
依頼を請けた木板彫刻の復元塗装。
目が点となりまぶたに力が入る。
洗いをかけて薬品を使い、木肌を蘇えさせる。
彫刻に彩色を施す。
自分にもできる、やり方がわかる。
手順をシュミレーションする。
この工程はクリア、ならば次はこの工法で。
満足な肌ができるまで、修正の手法は何通りもある、
建築現場での評価は高い修正だが、
どの工法も、
やっつけ仕事になってしまわないかと疑問が生まれてくる。
自分の塗装知識でよいのか、責任がとれるか。
そんな時に出会ったことば、
「私達の仕事は、現存する文化財、
歴史資料を永く後世に伝えるための技術的支援です」
「現在、絵画や美術工芸品、貴重な歴史資料の
修復処置においては、
単に見た目の景観を整えるのではなく、
処置対象となる物の本質、
制作原初に使われた材料素材や組成構造などを
しっかりと読み取り、
可能な限りその確保と延命に努めることが要求されます。」
修復家 中塚博之
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塗装の仕事を始めたころ、建築材には本物と類似品とに
分かれ、用途に合わせ使用されており、内部塗装においては、
木材製品の修復塗装を幾度も手掛けていました、
染色してニスで仕上げる家具製品、
寿司屋の天板は汚れをとり磨きをかけ、
日本酒で清めて仕上げます。
主に今は、劣化に応じ塗り重ね塗装が主体になります。
現在は木材に見立てた製品が多くあり本物との区別もなく、
木材近似製品や新建材で成り立っています。
塗装不可製品も多いなか新建材で作る戸建の
寿命も短くなったと思います。
(自然環境を考慮した建築材料の進化でもありますが、
結果、大量に増えた建築材料はゴミ処理問題となり、
新建材に起因しています。)
修復現場に行く、見る、話す、そして学ぶ。
見聞を広めたことで原点と言う学びを得ることができました。
修復手法を学んだことは、
お客様へ確かな私見技術を届けることが可能となります。
インドの古い文書で不動明王(アチャラナータ)と読むそうです。
写真は由緒あるお寺
祐松堂 修復家 中塚博之
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