能登半島地震/国交省が業界団体と自治体に対応要請、災害復旧を優先・円滑実施へ

 

【建設工業新聞1月10日1面記事から転載】

 

 能登半島地震を受けた応急対策や復旧・復興工事の本格化を見据え、国土交通省は災害復旧の円滑で適正な実施への対応を建設業団体や関係自治体に要請した。行政機関との災害協定などに基づき対応に乗り出している建設業界には、継続した協力を呼び掛ける。災害対応を優先して円滑に進めるため、自治体には必要に応じた発注工事の一時中止や速やかな前金払いを依頼。復旧工事への随意契約や復旧・復興JV制度の活用も働き掛ける。同省は同地震の特定非常災害や激甚災害への指定を念頭に置いた措置も検討している。
 建設業団体向けの要請文書は不動産・建設経済局長名で4日付の送付。今後の災害復旧に向け「建設機械、資機材の調達や労働力の確保など、建設業界などのより一層の協力が不可欠」と強調し、引き続き行政機関と緊密に連携し、可能な限り応急対策や復旧に取り組むよう要請した。
 都道府県を通じ周知する自治体向けの要請文書も同日付で送付し、公共工事標準請負契約約款の規定に基づく工事中止命令の的確な指示を依頼。優先度の高い復旧工事などに建設会社が対応できるよう、施工中工事を一時中止するなどの適用例を挙げた。災害対応に当たる建設会社が人員・資機材を円滑に確保できるよう、速やかな前金払いの重要性も指摘。前払金保証の事務処理が滞らないよう、保証事業会社には交通・郵便事情の悪化を踏まえた柔軟な対応を求めた。
 石川、富山、新潟、福井の4県など被災自治体には、適正な入札契約に関する総務省との連名通知を9日付で送付。緊急的な復旧事業への随意契約の活用や、指名競争など手続き期間を短縮した入札方式による早期発注を促す。地元企業と地域外の企業が共同で施工体制を確保できる復旧・復興JVの活用も周知。被災者の雇用を促進する観点でも地域要件の適切な設定などに配慮してもらう。
 政府は能登半島地震を特定非常災害と激甚災害に指定する方針。国交省は建設業許可や経営事項審査(経審)の有効期間の延長など指定後に講じる必要な措置を検討していく考えだ。