西九州新幹線/国交省が佐賀県と協議再開、10カ月ぶり開催も議論は平行線

 

日刊工業新聞2024年1月10日2面から転載

 

 国土交通省は西九州新幹線の佐賀県内の未開通区間(新鳥栖~武雄温泉駅)について、2023年12月28日に佐賀県と協議を行った。国は従来方針を変えず、佐賀駅経由ルートの整備意義を強調。県はルートを白紙にした上で、地元の合意形成を図るべきだと主張し、議論は平行線をたどった。斉藤鉄夫国交相は9日の閣議後会見で「率直な意見交換ができたことは一定の意義があった」として、10カ月ぶりの協議再開を評価。継続的な協議にも意欲を示した。


 会合には国交省の平嶋隆司鉄道局次長、佐賀県の南里隆副知事らが出席した。国交省は交通の利便性を考慮して新幹線をフル規格で整備し、佐賀駅を経由するルートが最善になると説明した。一方、佐賀県は在来線への影響や巨額の事業負担の懸念から「失うものが圧倒的に多い」として主張した。


 佐賀県は新幹線整備の前提としていたフリー・ゲージ・トレイン(FGT、軌間可変電車)の採用を国が断念したことを挙げ、協議中断の原因になっていると指摘した。長崎県を含め地元の合意形成を進めていくべきだとの意見も示した。


 国交省は与党検討委員会に協議結果を報告し、今後の方針を探る。斉藤国交相は「県から伺った内容を踏まえ、引き続き新幹線整備の必要性、重要性についてご理解いただけるよう、議論を積み重ねていきたい」と話した。