土木用語のメモ【砂防編②】参考:河川砂防技術基準同解説 計画編
【渓流保全工(流路工)】
1.渓流保全工の目的と構成
渓流保全工は、山間部の扇状地や平地を流下する渓流などにおいて、流路の是正による乱流や偏流を制御することにより、渓岸の侵食や崩壊などの発生を防ぐとともに、縦断勾配の規制による渓床及び渓岸の浸食などの防止を目的として設置するもので、床固工、帯工と護岸工、水制工などの砂防施設の組み合わせによって構成される。
2.渓流保全工の計画及び施工上の留意点
(1) 計画上の留意点 渓流保全工は、渓流空間の多様性、生態系の保全及び自然の備え持つ土砂調節機能の活用の面から、拡幅部や狭窄部などの自然地形を活かし、必要に応じて砂防施設を配置するように計画するものとされている。
(2) 渓流保全工の計画及び施工上の留意点 渓流保全工の計画及び施工については、以下のような留意点がある。
① 渓流保全工の施工順序:渓流保全工の施工は、上流から下流に向かって進めることを原則とし、着手の時期は上流の砂防工事が進捗して多量の流出土砂による埋塞の危険性がなくなる時期とする。ただし、人家などの保全対象が下流側にあり、下流部の河積の拡大を優先させなければならない場合には、下流から上流に向かって施工することを考慮する。
② 上流端処理:渓流保全工計画区域の上流端には、万一の土砂流出に対応するため、原則として流出土砂抑制・調節機能をもつ、えん堤もしくは床固工を施工する。
③ 横断構造物:渓流保全工の施工にあたっては、橋梁、排水管等の横断構造物はなるべく少なくする。やむを得ず設置する場合は、上流からの流木等による破壊等を考慮して、河川としての余裕高に0.5m加えた高さをとることが望ましい。
④ 流路工の三面張り:流路工は、渓床勾配等で掃流力が抵抗力に勝る場合においても、勾配緩和等を検討しできるだけ三面張りは避けることとし、勾配緩和、河幅拡大等を考慮しても、なおかつ掃流力の方が抵抗力より大きい場合。三面張りとすることを考慮する。
⑤渓床勾配の変化:渓床勾配を変化させる場合、上流部より下流部にかけて次第に緩勾配になるように施工するものとし、勾配変化の折れ点には床固工を計画して落差を設ける。
参考:河川砂防技術基準同解説 計画編