夕焼けが地平線に沈みかけるころ私は冬の風を感じながら息をぜぇぜぇと鳴らしながら全速力で走っていた。なんでこんなことになったんだろう...
時は少しさかのぼる。
私はいつも通らない道から下校していた。理由は無く、ただなんとなく少し遠回りして帰りたい気分だった。強いて言うなら何か刺激が欲しかったのかも知れない。
そんなことを考えていると見慣れない骨董品屋を見つけた。
この通りを知らなかったわけではないが通ったことは無かったので少し新鮮だった。
昔は商店街があって賑わっていたらしいがデパートやらなにやらが出来たとかでどんどん衰退していったそうだ。今ではその名残はほぼ残っていない。古びたアーケードがあるだけで中はほとんどが住宅だった。
その中でも一番古いであろう建物に目がいった。
骨董品屋だろうか?中には壺やら陶器が並べられている。
私はたいしてそういったものに興味がある方ではないけど”なにか”がいるかもしれないという好奇心からその建物に入ることにした。私はオカルト好きなのだ。
中はしんとしていて人の気配はない。誰もいないのかな...?
私は入口付近にあった棚に飾ってあった和風の模様が入った皿に手を伸ばした。
これ触っても大丈夫かな???大丈夫だよね。動かしたら奥からゾンビが出てくるとかないよね?
若干ゾンビが出ることを期待していた。
当然なにも起こることは無く私はお皿をみつめた。
いくらくらいするんだろうか?
そんなことを考えていると建物の奥から物音が聞こえた。
びくっとした私はもっていたお皿を落としてしまった。
皿が割れ、砕け散る。その刹那、私は考えるより先に扉をあけ外に走り出していた。
そして今に至る。全く我ながら最低なことをしたと激しく後悔した。
一歩間違えたら犯罪者だ。っていうか今すでに現在進行形で犯罪者だよ!!!!!
後ろは振り向かない。振り向く余裕もない。振り向いてもし怖い顔したカミナリおじさんがこっちをにらんで走ってきた日には失禁ものだ。
華の女子高生が失禁とかどんなプレイだよ。
それだけは絶対に避けたい。なにがあっても。
それに犯罪者とか嫌だよ...
あたりは日が落ちてずいぶん暗くなっていた。
そのせいで私はなにかとぶつかって体勢を崩した。
「いてぇ...」と声が聞こえた。
男の人の声だった。私は逃走中?のため混乱してたので謝りもせず、すぐに立ち上がり地面を蹴った。
しかし腕を掴まれた。まずい。非常にまずい。
絶対相手はぶつかったことにぶち切れだし今足をとめたらもし後ろからカミナリおじさんが追ってきていた場合そちらにもぶち切れられもう生きては帰れない。
お母さん...絶対生きて帰るからね...!!!!
覚悟を決めて掴まれた腕に力を入れて男の身体ごと引っ張るかたちで走り出した。
しかし進んだのは2,3m程度でほとんど動いていない。
私はこのときどんな顔をしていただろう。きっと焦り、恐怖し、泣きそうな顔をしていたに違いない。2,3m引っ張ったところでちょうど街灯のしたあたりに来た。
視界が少し明るくなり男の顔が見えた。
私は驚いた。すらっとした足。ふわっとしていてやや癖っ毛でそして少しいい匂いがする髪。たれ目気味の眠そうで、でも優しそうな目。きれいな顔立ちに対して私の腕を握っている手はごつごつしていて男性らしさを感じさせる。
超絶イケメンであった。
「ちょっと...足。」とイケメンはいった。
足??イケメンの視線の先を見てみると私の膝がすりむけていた。
今までアドレナリンが出ていたせいか痛くなかったのに傷を自分で目視すると次第に冷静になり痛みを感じる。
あかん。まじでいたい。
「女の子の足に傷が残るのはよくないよ」
優しそうな声音で注意された。この人さっき私がぶつかったのに全然怒らないでむしろ私の心配してくれるとかなんて優しいの。泣けるわ。
こんなに優しい人に先ほどの非礼の数々を謝罪しないわけにはいかない。私はしっかり謝罪の言葉を述べた。「先程は本当にすいませんでした!!!」
「そんなことより足。早く消毒しないと...うーん...」
考え込むように唸る彼はさんざん考えた結果、とんでもないことを言い出した。
「あの...うちここの近くだから、うちで治療しよう」
お母さん、私今日はおそいかもしれないから先に寝ててね...
そう天に届くように上を向いて静かにつぶやいた。
ちなみにお母さんは昼休みにメールで「今日カレーがたべたい。」と送っておいたので今頃カレー作ってます。