yumenoohanashi | やはりこのブログは間違っている

カタカタカタ...


暗い部屋にキーボードを叩く音だけが響く。

時間は午前0時を迎えようとしていた。部屋のまわりには人の気配は無く、皆寝静まっている。

キーボードを叩く音は休んではまた叩いてを繰り返していた。

「自分はなぜ存在しているのか」というなんとも漠然としたことをぼんやり考えていた。

働き、食べて、眠る。そして起きる。

自分は飽きることなく、繰り返している。

いや、飽きていないのではない。なぜなら毎日が退屈なのだから。

やれ彼女だのなんだので一喜一憂しているやつらは相当能天気な人間なんだろう。

そんな大勢がそれが正義と言わんばかりにしている遊びなどには興味が無い。

きっとそれだけに興味が無いわけではない。

いつからこんな空っぽになってしまったんだろう。

生きがいも何もない。これでは屍と変わらない。

もう死のう。

「君は我が校期待の星だよ!この調子で頑張ってくれ!」

「武田さんあそこ受けるの!?すごーい!!!でも武田さんなら絶対合格できるよ!!」

「あなたは絶対出来るわよ!なんていったってお母さんの子供なんだから!」




周囲の期待は熱かった。

私は何一つ不安は無かった。今までもこんなことがあった。

中学受験。陸上の大会。

全ての場所で最高の結果をのこしてきたのだ。

だから今回も必ず成功する。それを信じて疑わなかった。

もちろんそれに見合う努力はしたつもりだ。

間違っても私が誰かに負けることなんてありえない。

世界は私を中心に回っていると言っても過言ではないのだから。

能力の無いものには人は集まらない。

クラスの底辺にいるようなあの根暗な子のまわりには誰もいない。

だけど私の周りには常に人がいっぱいだ。

みんな私を褒めることしかしない。しょうがないから私もほめ返してあげる。

そんな嘘のほめ言葉でも私が褒めたからって得意げに「武田さんにほめられた!!!」とか言って喜んで相当頭がアホなんだろうな(笑)




私は充実しかしていなかった。



しかし大学受験に失敗。

私より成績が悪い子が合格。



そこから歯車が狂い始めた。




周りにいた子たちがいなくなった。

先生も私をひいきしなくなった。

お母さんも毎日泣いている。


私は人生の負けを生まれて初めて経験したのかもしれない。

しかしまだ一敗である。

負けたら負けたで私の事が大好きなあの子たちが慰めてくれるだろう。

しかし誰も声をかけない。

いつもなら私が席についているだけで犬のようにマヌケ面しながら来るはずなのに。



ここまでPCには書いた記録が残っていたらしい。

ここからは私の後悔である。


私はキーボードを打つ手を止め外に出た。

向かった先は学校。

みんなが私をあこがれの目で見ていた場所である。

いまはそれも過去の話。

私は重い体を引きずり校舎の階段を上がり教室へ向かった。

教室の窓は誰かが閉めるのを忘れたのか少し開いていた。

窓から吹く初秋の少し冷たい風が私の心を凍らせるようだった。


教室にくればなにかわかるかも知れない。

そう思ったがこうなった原因がいまだにわからない。

よく考えればわかったのかもしれない。しかし今の私には考えることすら煩わしかった。



早く楽になりたい。



そう思い窓の桟に立った。

校舎の4階。落ちれば即死だろう。

こんなくだらない世界おさらばしてやるよ。


そう心の中で吐き捨てて私は飛び降りた。



人がもう死ぬと直感すると脳の回転が爆発的に早くなるのか、私の脳には様々な情報が溢れてきた。


私は何がしたかったのだろうか。

勉強して、練習して何がしたかったのだろうか。

超一流大学に入る?オリンピック選手になる?

違う。私はただ誰かに褒めて欲しかった。本当の友達が欲しかった。

私の傍にいれば自分の地位が上がるとか下心しかない上辺だけの友達ではなく、私が悲しんでいる時、落ち込んでいるときに励ましてくれる友達が欲しかった。

よく考えればわかることだった。自分に嘘をついていた。

まわりの友達が悪かったのではない。全て自分が悪かったのだ。

何もかもを見下し、そのあからさまな態度をまわりが認知してないわけがなかったのだ。

なぜ私は自殺など考えたのだろうかと落下しながら考えたが時すでに遅し。

地面はもうそこに迫っていた。



私は全身を強く地面に打ちつけた。




「少し休もう...」




そう私はつぶやいてゆっくりと瞳を閉じた。