「除名の再審査」を求める資格とは
日本共産党土方明果組織局長署名の11月30日付論説(しんぶん赤旗12月1日付掲載)が局所的に話題になってる。というか叩かれてる。
下の名前の読み方も誰も知らない、要職なれど地味なポストの人物の論説は、党大会開催を控えて、除名され、大会に除名の再審査を要求している松竹伸幸氏の活動を批判したものだ
(友人が土方氏の署名入り論説の存在を教えてくれて、下の名前は「あけみ」と読む)
https://x.com/kamiyakousetsu/status/1731282567431885123
土方論説の中で「除名の再審査」の資格が問われる、という指摘を土方氏はしている。
全体が逐一、それぞれSNSで叩かれてるのだが、この「除名の再審査」を求める資格については、「大会で除名の再審査を行わない」というフラグだ、という批判が出ている。
松竹氏本人は、土方論説に詳細な反論をブログに掲載し始めているが、『「除名の再審査」を求める資格』については、まだ論点にしていない。そのうち、これも反論を加えるのだろう。
余談だが、松竹さんも言葉遣いが荒れてきたなあ、と思う。
おそらく字数の問題なのだが、『「除名の再審査」を求める資格』とはどういう意味なのか、土方論説の中に説明がなく、そういう誤解もかなり仕方がないのかな、と思う。僕だって初見ではそういう意味もあるのかと思った。
この論説の全体の趣旨は、松竹氏の活動がいかに規約に反しているか、ということなのだが、松竹氏自身も松竹氏を擁護する人々も、除名されて党員ではなくなったのだから、もう党規約に拘束されない、という考えだ。
松竹氏自身が、除名直後からそう言っている。
除名の再審査を求めるのは、もちろん除名処分が不当または無効だという主張だ。これについては、松竹氏は長文で複数の意見文書をブログに掲載しているし、本も出版している。
土方論説にある『「除名の再審査」を求める資格』の問題は、おそらく、除名処分が不当または無効だと主張するならば、引き続き党員として行動するべきだ、ということだ。すなわち、規約に拘束されながらの言動をとらねば、除名は規約違反だ、と主張する「資格」が問われる、という意味だ。
除名されて党員資格を党組織には否認されているのだから、党員としての権利行使には当然に限界がある。除名の不当・無効を党内外に党外から訴えることも、ある程度は必要になるだろうが、それは緊急避難的に必要な範囲内でのことで、公然と規約に違反する行動をとっておいて、自らへの除名処分は規約違反だと主張するのはその資格があるのか、ということを土方論説は言ってるのだと思う。
松竹伸幸氏が、共産党側の批判に対し、その印象操作や情報操作を指摘するのは当然で、両方の主張を把握している者には、それ自体はその通りだ。
公認党史での印象操作を把握している者にとってはおなじみといえばおなじみ。松竹さんの「50年問題」についての論及にふれて初めて公認党史の印象操作を知ったような知識人もいるようだが、そんなもん、僕にとっては常識だ。とりあえず、安東仁兵衛『戦後日本共産党私記』と小山弘健『戦後日本共産党史』を読んでおけばわかること。彼ら「反党分子」の本の事実関係だけを拾い、筆者の意見の部分は自分で再解釈すれば、公認党史が抽象的に触れるにとどめている事柄の実態は少しばかり具体的にわかる。
松竹さんだって、共産党の側のいろいろを歪曲して解釈して批判する方式をとってるじゃん?、と思う。
わかってやってる共産党と、無自覚にやってる松竹さんの違いはあるけど。どっちが悪質かというとどっちもどっちだけど、規約違反はあるのかどうかだけを問題にすれば、僕にとっては松竹氏の規約違反は明らか。
さて、『「除名の再審査」を求める資格』について、日本共産党中央が土方論説を補足することはあるのだろうか?