#のり弁 「情報公開」についての意見書(ばいじん公害をなくす会大分) | 日本と大分と指原莉乃の左翼的考察|ケンケンのブログ

#のり弁 「情報公開」についての意見書(ばいじん公害をなくす会大分)

僕は「ばいじん公害をなくす会大分」の役員を務めています。日本製鉄を主要な発生源とすれる降下ばいじんその他の公害の改善を求める団体です。
会のFacebookページの以下の記事から転載します。

2022年5月に日本製鉄大分地区で起こった死亡事故について、大分労働局がばいじん公害をなくす会大分の情報公開請求に対し行なった「のり弁」公開(画像参照)について、22年12月に不服申立てをしていました。
23年3月に、国の情報公開・個人情報保護審査会に諮問され、会にも意見書提出を求められたので以下の意見書をメールで提出しました。

なぜこのような「のり弁」公開が行われるのかについての推測と改善要求も、審査内容に関係ないという見解もあるかと思いますが、国の責務と国民の権利実現にとって重要なことと考え、付記しました。

なお、独特の法律用語がありますが、
「現処分」とは、大分労働局が行った「のり弁」公開の決定のことで、「諮問庁」とは、厚生労働省のことです。

  2023 年(行情)諮問第 274 号に対する意見書


  2023 年 4 月 14 日
ばいじん公害をなくす会大分

行政機関情報公開法(以下、「法」とする)第 1 条は、政府のいわゆる説明責任を定め、「国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な業績の推進に資することを目的とする」としている。
また、法第 5 条は、公開請求を受けた文書について、原則として開示し、例外として不開示情報を限定列挙している。
法第 6 条は、不開示情報のみを除去して公開する部分開示を定めている。
本件原処分についても、形式的には部分開示であるが、有意な情報とされ、開示すべき情報と不開示情報に該当する部分との区別が行われていない、と思われる。
すなわち、不開示となった部分には、不開示情報に該当しない情報が多く含まれると、請求人は考える。
また、法第 6 条は、部分開示の要件として「不開示情報が記録されている部分を容易に区分して除くことができるとき」としている。本件原処分は、この区分について、まともに検討したのかが疑わしいほど、粗雑かつ乱暴に判断し、事実上の不開示とも表現したくなるほど広い範囲を不開示としている。諮問庁による理由説明書においても、この区分についてまともに説明されていない。

例えば、労働安全行政においては、各種の研修等において事故事例の概要を紹介し、これからの事故防止のための教訓を得ることが行われている。この事例紹介においては、個人情報、法人情報、公共安全情報、行政運営情報等の、法第 5 条に定める不開示情報は当然に除去されている。すなわち、事故等において、不開示情報と開示情報の区分は容易に可能であることを示している。

原処分および諮問庁理由説明書は、あまりに粗雑かつ乱暴に、安易に不開示部分を広範囲としていることは、先行事例、ことに各種判例といったレベルにとどまらず、法の主旨の根本をまったく理解していないものと言わざるを得ない。情報公開請求については、不服申立から諮問まで 3 か月、諮問から裁決まで 1 年程度かかるのが通例だとされている。
行政庁が一旦、こうした粗雑で安易な行為をなすと、たとえ、不服審査によって救済されたとしても、多大な時間と労力を国民に強いるものとなり、法に定める行政機関の責務や、国民の権利の実現に多大な障壁を設けるものとなっている。国民の権利実現を事実上、妨げる本件処分のごとき行いは、地方自治体の情報公開行政と比較しても極めて低質で、国の行政への信頼を損なわしめるものである。また、本件原処分について、現処分庁が粗雑で安易な行為をなしたのは、何らかの省力化圧力が強くはたらいたことによるものだと、請求人は推測しているが、これにより、情報公開・個人情報保護審査会その他の行政機関の事務量はむしろ圧倒的に増大しているがゆえに、不服申立から裁決に至るまでに要する時間は示していると思われる。このような省力化圧力がなぜいかにして生じているのかを行政機関全体として再検討し改善することが、実は行政機関全体としては効率化となり、それが国の責務と国民の権利実現にもつながることを認識するように求めたい。
仮に本件原処分のような粗雑な不開示処分が頻発しているのであれば、国民の権利実現と国の責務の遂行に、不服申立て手続きを経た 1 年以上の年月を必要とし、事案によっては権利実現や法の趣旨の実現に決定的な毀損が生じるおそれがある。行政機関全体の猛省と抜本的な改善を求めたい。

以上