2021年衆院選の比例代表政党別得票を2019参院選・2017衆院選とくらべてみる | 日本と大分と指原莉乃の左翼的考察|ケンケンのブログ

2021年衆院選の比例代表政党別得票を2019参院選・2017衆院選とくらべてみる

今回衆院選の比例代表の得票数を2019参院選、2017衆院選のものと比較して思ったことを書いてみる。

 

 

・獲得議席数が、各メディアの出口調査をもとにした議席予測でもかなりはずれたことは、小選挙区でのぎりぎりの競り合いを自公が多く制したことによるものだと思われる。600票差だった大分2区はまさにその例に該当する。

 

 

・コロナ対策の失策続きの安倍・菅政権が退陣し、新首相にキャラ薄すぎの岸田文雄氏が選出されたことで、総裁選での自民メディアジャックの成功ともあいまって、自公政権への評価はプラスマイナスゼロに戻った。ご祝儀の支持率上昇は小幅だったが有意味だった。選挙時には感染縮小が起こっていたことも、菅政権の退陣効果を増幅した。維新以外は無風化したことで、政党間の自力勝負の面が大きくなった。
・自民、公明は、得票を伸ばしている。それでも自公で議席を減らしているのは、小選挙区制での野党共闘効果と、関西での維新席巻によるもの。

 

・投票率を勘案すると、立民は2017衆院選や2019参院選とほとんど得票数が変わっていない。立民票に占める組織票の割合が小さく、「風」(浮動票)頼みの党であることがわかる。すなわち、2017衆院選後の野党再再編で、立民に所属する国会議員は増え、支持組織も大きくなったが、組織が脆弱な急造政党だった2017年衆院選のときに起こしたブームを支持組織の拡大によって凌駕することには程遠い現状だ。
・国民民主党は、2019参院選より大幅に減らした。ほとんど浮動票が見込めない国民にとって、減票はすなわち支持労組の減少と見ていい。小選挙区の前職6人が全員議席を維持したが、そのうち3人は野党一本化選挙区だった。比例代表で議席が増えたのは、前職が当選が危ういと見て、現国民に忌避しただけのことだ。連合会長が、敗北した立民を批判し、議席を増やした国民を評価してみせたが、右派労組出身者の身びいきにすぎない。

・維新は、地域ごとに得票数を仔細に見ていないが、旧希望の党が失った票を吸収した計算になる。小池百合子都知事と政治手法や政策と、維新政治には類似点が多く、派手なパフォーマンスで強力なリーダーシップを演出することや、大都市部の新旧中間層の支持を基盤に市場原理主義政策をとることが似ている。維新とユリコさまの違いは、維新がむき出しのマッチョを演出するのに対し、ユリコさまは、「鉄の女」と「しなやかな女性」の顔を巧みに使い分けるところにあるが、それは大阪府の中間層と東京都の中間層の社会的性格に照応するものと思われる。※
・共産党は、狭義の党勢(党員数と機関紙読者数)の微減傾向が継続し、得票は浮動票の動向で上がり下がりするが、今回は「風」がなかったため、狭義党勢の微減に比例して得票も減らしたように見える。

・社民は、多数派が立民に合流したにもかかわらず、得票数を維持している。衆院比例は地域ブロックに分割されているため、社民は比例での議席獲得はならなかったが、参院選比例では議席獲得できるだけの得票だ。


※小池百合子氏の政治演出の技法は個人商店でいい都知事としては機能するが、全国政党の党首としては逆機能に転化した。