埼玉県で現在第3次男女共同参画行動計画を作成中です。

 パブコメを募集して、その結果メディア対策についてかなり穏やかな文言になったのですが、その後の審議会でそれに否定的な意見が述べられ、また元に戻りそうな気配です。

 あと、「性の商品化」についても、パブコメの意見を反映して削除されたんですが、これに対しても反対意見が出ました

※※2012年3月9日追記※※


 念のため補足しますと、計画案におけるメディア施策の部分については、特に新しいものではありません
 前回の行動計画の焼き直しです。

 また、計画内容がいろいろ書いてありますが、現在下にあるメディア施策の部分については実質的に何もやっていないに等しい状態です。
 なので、今後も急に具体的に締め付け的な施策をやる可能性はかなり低いです。

 また、この行動計画案の作成にあたって、埼玉県は公聴会を実施したのですが、筆者はこれに出席してきて、メディア施策について意見を口頭で述べてきました。

 公聴会では、担当者が冒頭で行動計画案の概要を説明したのですが、主な内容は女性の雇用や暴力の防止、また震災を受けて災害時における男女共同参画のあり方がメインで、メディア施策については省略でした。
 この辺からも、メディア施策について、「規制してやろう」みたいな意思は特にないのがわかります。

 公聴会では自分も発言してみました。
 ひとり3分程度の持ち時間だったので、そうとう端折ったのですが、メディア施策について、

「メディアの自主規制のあり方については、状況と場合によって大きく異なる。県民の価値観が多様化している現在、行政がみだりにひとつのあり方を押しつけるようなことは、ともすれば『おせっかい』になり得るのではないか。事業者や業界それぞれが、消費者にあわせて柔軟に需要に対応するような方向性を目指すべきではないか。また、メディアが双方向になっているので、行政だけではなく消費者側の教育も重要ではないか。」

的な内容を口述しました。

 公聴会の参加者は自分以外(見た限りでは)女性で、40代~60代の方が多かったのですが、自分の発言の時、結構うなずいていまました。
 また、自分のあとに発言した一人の方には、「(上の自分が発言した内容を引用して)その通りだと思う」と言って頂きました。
 (個人的には、この反応は意外に思いました。)
 
 たぶん公聴会でのこのような内容を踏まえて、記載のしかたがかなり穏やかになったのではないかとも思います。(あくまで個人的な推測です)

 公聴会で出される他の意見も、女性の雇用や暴力の防止、また災害時の施策など、実務的な内容がほとんどでした。
 中身が濃くしかも実務的で、いろいろ参考になりました。

 あと、自分の意見口述では、メディア規制と一緒に、
「埼玉県の男女共同参画行動計画では、性的マイノリティについての記述がない。これからの5年間を見据えると、きちんと明記するべきでは」
等の意見も口述したのですが、(っていうかこっちの方がメインだった)修正案では反映されず、審議会でも(意見一覧で  載ってるはずなのに)取り上げてもらえなかったようです。
 個人的には、こっちの方ががっかりしました。


※※追記ここまで※※


第35回(平成23年度第3回)埼玉県男女共同参画審議会




(37ページ)

・・・・(略)・・・・・


施策の柱   メディア・自治体の情報提供における男女共同参画の理解の促進

 

 新聞・テレビ・ラジオ・雑誌などのメディアが公衆に表示する情報が、県民の意識形成に与える影響は大きく、高度情報化の進展により、更にその影響は拡大するものと予想されています。また、県が発信する情報も同様です。

 そこで、公衆に情報を表示する場合に、性別による役割分担や女性に対する暴力を助長及び連想させるような表現に十分留意するよう、県が率先して取組を進めるとともに、メディアによる自主的な取組を促進していくことが必要です。

 また、公衆に表示される情報について、県民自身が批判的に読み解き、自己発信できる能力を養うことが求められます。

 


 施策の基本的な方向 

(1)メディアにおける男女の人権とりわけ女性の人権を尊重する自主的な取組 

  の働きかけ促進 

 

 性別による固定的役割分担や女性に対する暴力を助長及び連想させるような表現に十分留意するよう対する自主的なチェック体制の整備やまた、男女の人権とりわけ女性の人権を尊重する視点に立った自主研修の実施、企画・制作・編集方針決定の場への女性の参画などの取組が進むよう、メディアに対し協力を働きかけ要請します。

 

推進項目 

① メディアにおける男女の人権とりわけ女性の人権の尊重に向けた自主的な取組働きかけ促進県民生活部、関係部局)

 ア メディアへの協力依頼・働きかけ

 

② 情報を制作・発信する側の企画、制作、編集など方針決定の場への女性の参画の促進(県民生活部、関係部局)


・・・・・(略)・・・・・・

(38ページ)

 施策の基本的な方向 

 (4)男女共同参画の視点に立った表現の推進浸透

 

 性別による固定的役割分担意識にとらわれない、多様な生き方や働き方を社会に浸透させるために、県が表現留意基準をもとに率先して取組を行います。うとともに、他の機関や民間のメディアにおいても自主的な取組が促進されるよう、県の表現留意基準を広く周知します。



■議事録


○金井委員 金井です。
○金井委員 37ページの中の今修正がありになったところのメディアにおける取り組みについてですけれども、ここをやはり積極的に、特に38ページの県が表現留意基準をもとに率先して取り組むとともに、ほかの機関とか民間のメディアにおいても自主的な取り組みが促進されるよう県の表現留意基準を広く周知しますというのはそのまま残したほうがいいんではないかなというふうに、その基準を使ってそれを浸透するという意味では、それを押しつけているわけじゃ、強制的にやらせるわけじゃなくて浸透させるという意味では、そこの部分を残していく。考え方としては、やはりこういった女性に対する暴力を助長するような表現に関しては自粛するか、そういった方向で進めていくというのは大切なことだと思うので、修正せずに残していく。特に、38ページの下のところは残していくという形を希望します。37ページの取り組みを働きかけに変えるというのは、そういうふうにしてもいいのかなというふうに思うんですけれども、38ページの修正されているところは残したほうがいいかなというふうに思います。

○会長 今のご意見ですが、ほかに。
  どうぞ。

○諸橋委員 僕も今の意見に同じです。37ページの「取組も必要です」とか、そこら辺直していただいたところはかなり抑制的に書いていただいて、介入でないという雰囲気が出るので僕もいいかと思いますが、38ページのほうですね、取り組みを行うとともに周知するとかですね、それから一番下の「周知と運用」ぐらいはですね、これはやっぱり残して、地元メディアに対して働きかけをすることも、県側のですね、姿勢のあらわれといいますか、これはやっぱり文言として残してもらっていいんじゃないかと思います。(4)の推進はこれで、「表現の推進」でいいかと思いますが、今の(4)の文言と、それから①の部分はぜひ残していただいても、もちろん反論は全くそのとおりで、行政の介入というのはあってはいけないことなんですけれども、自治体のレベルでこういうことを率先してやっていますというふうに周知し、そちらも徹底してやってほしいというふうに言うのは、そんなに大きな問題があるとは思いませんので、今の意見に賛成です。






・・・・・(略)・・・・・

(48ページ)


 施策の基本的な方向 

(5)売買春への対策の推進

 

 女性の性を商品化し、女性の尊厳を傷つけ女性の人権を軽視する売買春は、ものであり、決して許されるものではありません。売買春の根絶に向けて、関係法令を厳正に運用するとともに、広く「買春は恥ずべき行為」との意識啓発を行います。 

 さらに、売春防止法に基づく要保護女子の早期発見と保護・社会復帰支援を行います。特に児童買春やその被害児童について対策を講じます。

 

推進項目 

① 売買春及び児童買春の根絶に向けた取締りの強化(警察本部)

 

② 女性と子どもの人権の尊重についての意識啓発

 (県民生活部、福祉部、教育局、警察本部)

 

③ 売買春からの女性の保護(県民生活部、福祉部)

 

④ 社会復帰支援の充実(県民生活部、福祉部)

 

⑤ 相談体制の充実(県民生活部、福祉部)



■議事録


(諸橋委員 つづき)
  それから、もう一点、48ページの性の商品化という文言ですね。これも、こちらの県民コメントの11ページにある指摘は理にかなった指摘で全くそのとおりだとは思うんですが、性の商品化の是非については、道徳的な思想信条の問題であるところが大きい、確かにそのとおりなんですが、しかし、実はメディアの表現が女性の性を商品化しているという実態はあって、そしてそのことについてのちゃんとした定義がないといえばそのとおりなんですけれども、ある種売買春は性の商品化の1つの最たるものというふうにも思いますので、僕はこれ自体はあってもいいかなと思います。ただ、削ることでより明確になる。性の商品化っていろいろなレベルがありますので、ここは売買春の話ですので、ここは削ったほうがすっきりはするというのは確かなんですが、実態としては性の商品化をメディアが助長しているという実態はありますし、それから子供たちや若い人たちが実際に性モラリティーの商品化について免疫がといいますかですね、そういうことに関しての考えがなくなってきているという中で、これは大事な問題だろうと思うんですね。この場では売買春の問題ですので、取ってもいいかと思いますが、どこかで性の商品化の問題がどこかには残ればなという気がしています。


○会長 よろしいでしょうか、ご意見。
  48ページの買春を恥ずべき行為、犯罪行為じゃなく。


○諸橋委員 ちょっとここの周知の問題において、それこそ思想信条の問題があると思う。


○会長 恥ずかしがろうと恥ずかしがらないだろうと、その人ということじゃないかと思いますので、そういう、それこそ何かが入り込んでいますよね。というふうにはちょっと思いますけれども、どうでしょうか。
  おおむね意見いただいていると思うんですけれども、ほかにありませんか。
  どうぞ。