静岡県には、「有害図書(個別指定・包括指定)」の手前に、「不健全図書」という制度があります。(東京都などの不健全図書とは別物です)


 東京都の青少年条例でいうところの、7条自主規制に相当します。


 以下は静岡県青少年健全育成条例の条例解説書より。



(不健全図書類の販売等の自主規制)


第9条の3 図書類の販売又は貸付けを業とする者は、青少年の健全な育成を阻害するおそれのある図書類(有害図書類を除く。以下「不健全図書類」という。)を青少年に販売し、頒布し、若しくは貸し付け、又は閲覧させ、視聴させ、若しくは聴取させないよう努めなければならない。

2 図書類の販売又は貸付けを業とする者は、不健全図書類を陳列するときは、当該不健全図書類を他の図書類(有害図書類を除く。)と区分し、店内の容易に監視することができる場所に置くよう努めなければならない。


3 図書類の販売又は貸付けを業とする者は、前2項に規定する措置をとつたときは、不健全図書類の陳列場所に、当該不健全図書類を青少年が購入し、若しくは借り受け、又は閲覧し、視聴し、若しくは聴取することができない旨の掲示をするよう努めなければならない。


[要 旨]


 本条は、青少年の健全な育成を阻害するおそれのある図書類全般について、有害図書類と同様に扱うよう、事業者に対し努力義務を課したものである。


[解 説]


1 第1項関係

(1) 「不健全図書類」とは、有害指定基準(P125参照)に照らして同等・類似の性質を持つ図書類をいう。
(2) 不健全図書類について事業者がとるべき措置は、第9条第7項で規定される措置と同じである。


2 第2項関係


 不健全図書類について事業者がとるべき措置は、第9条の2第1項で規定される措置と同じである。区分の方法は施行規則第2条の2に規定する方法に準じて行う。
 なお、他の図書類と区分する際に、有害図書類とは区分する必要はなく、むしろ有害図書と併せて陳列することが望ましい。

3 第3項関係


 不健全図書類について事業者がとるべき措置は、第9条の2第2項で規定される措置と同じである。
 なお、第2項の解釈と同様、掲示する際には有害図書類と併せて行うことが望ましい。

4 不健全図書類として扱われるべき図書類の例示は次のとおり。


○ 卑わいな描写が20ページ又は総ページ数の5分の1未満だが、著しく性的感情を刺激すると認められるもの(ポルノ小説、過激なイメージビデオ 等)
○ 犯罪マニュアルや自殺マニュアル等の書籍等で、個別指定されていないもの
○ 18歳以上向けのゲームソフト(CERO倫理規定によるZ区分指定ソフト等)



[運 用]


 本規定は自主規制であるため、第9条第7項違反や第9条の2第2項違反による罰則は適用されない。また、第9条の2第4項及び第5項に規定する「勧告」及び「命令」は行うことができない。従って第9条の2第5項の「命令」に違反した場合の罰則も適用されない。
 しかし、事業者は不健全図書類を有害図書類と同様に扱う努力義務を負っていることから、そうした努力を促す指導を行うようにする。


 個別指定されておらず、また、包括指定に該当しない図書類の中にも「静岡県青少年環境整備審議会における推奨、指定の認定基準」に照らして、有害図書類と同等・類似の図書類は数多く流通している。こうした図書類については、一般の図書類として公然と陳列され、青少年への販売等も行われている。
 しかし、こうした図書類が青少年に与える影響は、有害図書類と何ら変わるものはない。
 そこで、こうした図書類について有害図書類と同様に扱うよう、事業者に対し自主規制を求めたものである。


※2011.1.7追記


『条例の沿革』より


改正 平成21年3月17日 静岡県条例第18号(施行 平成21年7月1日)


【背 景】

 インターネット上の有害情報の氾濫や深夜営業店等の増加による、青少年を取り巻く社会環境の変化に対応するため、平成18年に条例の一部を改正し、平成19年4月1日から施行、運用を行ってきたところ、新たな課題が発生してきた。
 例えば、①「深夜外出制限」に関する小学校未就学児の取り扱い、②規定のない有害がん具類の店頭での陳列方法等、③「淫行及びわいせつ行為の禁止」違反による検挙者の増加等である。
 これらは、社会や大人のモラル低下や家庭環境の変化によるものであり、こうした心ない大人の行動に対して、子どもたちの保護及び健全育成を図るため、条例の一部を改正した。

【主な改正点】

■ 青少年の定義から下限を削除し、満18歳未満の者とした。
■ 有害がん具類等の陳列場所の区分等に係る規定を設けた。
不健全図書類・がん具類等に係る自主規制を設けた。
■ 淫行及びわいせつ行為違反の罰金を100万円以下とした。
■ 静岡県事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例により、知事の権限の一部を静岡
市及び浜松市に移譲した。

 有害がん具類の区分陳列に係る指導・勧告 左記に係る立入調査を含む