静岡県警が静岡県教育委員会に宛てた要望書。

 取り合えずこれだけ書いてみます。



※注意
筆者の判断で、文中において具体的な薬品名や過激な言葉を「■■■■」で修正しました。
原文書には修正はありません。修正されていない文書を見たい場合は、各自で情報公開等を請求して下さい。

たいした言葉ではありませんが、萎縮します。



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                             静外第 107 号
                            平成22年7月13日


                         静岡県警察本部長


静岡県教育委員会教育長 殿



              有害図書指定について(要望)



みだしのことについて、次のとおり要望いたします。


        記


1 要望理由


 警察では、青少年の非行防止対策の一環として、有害環境の浄化活動に努めておりますが、最近、インターネット利用による書籍販売等により、青少年の健全育成を阻害し、一歩間違えれば犯罪を助長する有害図書の購入実態が明らかになりました。
 今回明らかになりました雑誌は、市中の書店はもとより、インターネットで誰でも簡単に購入できるもので、現に同雑誌を購入した本県在住の高校生が爆発物製造未遂事案を発生させたところであります。
 本事案は、青少年の健全育成の観点のみならず、地域住民の安全を確保する観点からも看過できないものであります。したがいまして、御検討の上、是非とも当該雑誌を「静岡県青少年のための良好な環境整備に関する条例」により有害図書として指定していただくよう要望するものであります。



2 対象図書


(1) 「図解アリエナイ理科ノ教科書」改訂版
出版社 株式会社三才ブックス
文・監修 薬理凶室
発行人 和田淳子
編集人 村中宣彦
定価 1,800円


(2) 「図解アリエナイ理科ノ教科書」 ⅡB
出版社 株式会社三才ブックス
文・監修 薬理凶室
発行人 和田淳子
編集人 村中宣彦
定価 1,890円


(3) 「図解アリエナイ理科ノ教科書」 ⅢC
出版社 株式会社三才ブックス
文・監修 薬理凶室
発行人 渡連 剛
編集人 斎藤 俊
定価 1,980円
定価 1,890円


(4) 「図解アリエナイ理科ノ工作」
出版社 株式会社三才ブックス
監修  薬理凶室
発行人 和田淳子
編集人 村中宣彦
定価 1,890円



3 書籍の概略~有害性


(1) 「図解アリエナイ理科ノ教科書」


○ 前書き
「学校で勉強した理科なんて理科とはいえない。爆弾はもとより麻薬ひとつ作れないようでは理科をやる意味がない」 「麻薬や兵器を自分で作りたい」 「■■■■と■■■■があればダイナマイト程度の爆弾は作れる」 「■■■■と■■■■から毒ガスができる」などと過激な内容で当該書籍を紹介し、書籍の目的を闇の科学(マッドサイエンス)の教育と位置付けている。さらに、 「教育関係者および教育指導関係者各位」欄には「もうウザすぎます。とりあえず死んどけ」などと挑発的な内容の文面を掲載している。


○ 身近にある薬品 爆裂日用品(P96-97)
■■■■を製造する際の原料として応用が可能な日用品について、ホームセンターや薬局など購入先を細かく解説している。また、■■■■として何があるのか、詳しく紹介することで青少年の興味を引く内容となっている。


○ マッドサイエンス用語辞典(p212-217)
「■■■■」の項では、爆発物としての性質を記述するとともに、米国におけるテロ事件での使用例を紹介している。


(2) 「図解アリエナイ理科ノ教科書」 ⅡB


○ ■■■■(p96-97)
「■■■■は不安定な物質で、これを使って■■■■を■■■■したものが■■■■として使える」 「■■■■というとなじみがないですが、実は■■■■やら■■■■に含まれています」と日用品を■■■■として紹介している。


○ 燃焼とエネルギー(Pl16-117)
「酸素を供給する化合物をまぜまぜした粉が、いわゆる火薬というものの正体なのです。この酸素源というのが■■■■とか■■■■とか・ ・物質なんですね」などと■■■■のしくみを教示している。


(3) 「図解アリエナイ理科ノ教科書」 ⅢC


○ 爆死の取扱説明書(p26-35)
写真入りで■■■■と■■■■の違いを紹介するとともに、■■■■や■■■■を紹介するなど、青少年の成長に劣悪な情報を提供している。


○ ■■■■(pl42-147)
■■■■と■■■■の違いを説明するとともに、■■■■で多く使用されている■■■■の製造方法及び原料の販売先などを紹介している。さらに、■■■■、 ■■■■、 ■■■■、 ■■■■、 ■■■■、 ■■■■などの■■■■の種類と性質、用途などを写真入で説明し、それぞれの威力を比較している。


○ ■■■■
■■■■について、化学式を紹介し、■■■■の威力や実用性について詳しく解説している。特に図5では、 ■■■■の合成方法について、 5段階の化学式を交えて分かりやすく解説している。


○ 当該書籍はいずれも裏面に『本書には過激な暴力表現、不謹慎な文言、差別的な記述、偏った思想がふんだんに含まれています。分別のないお子さまの手の届くところには置かないでください。 』と敢えて記載するなど、青少年の興味を引いて購買心を煽っている。



4 要望に至った発生事案


(1)事案の概要


 本年4月、県内西部地区居住の高校生が、インターネットを通じて爆発物原料を購入したとの情報を得て、捜査を開始した。
 その結果、同人は数種類の爆発物原料を所持し、事前に近所の書店で購入した「図解アリエナイ理科ノ教科書」を参考に爆発物を製造する直前であることが判明したため、同人を補導するとともに、両親の同意のもと爆発物原料の琴出を受け、無害化措置を講じた。
 同人は以前から爆発物に興味を抱いていたものであるが、当該「図解アリエナイ理科ノ教科書」において紹介された爆発物の情報に触発され、さらにインターネットを参考に日用品から爆発物原料を抽出する情報を入手したものである。
 なお、同人が製造しようとした爆発物には、海外の爆発物テロ事件で実際に使用され、多くの死傷者を出した危険性の高い爆発物原料も含まれていた。
 今回、爆発物は製造されず、犯罪の発生を未然に防ぐことができたものであるが、このまま放置すれば、間違いなく爆発物が製造され、火薬類取締法違反(第3条(製造の許可) 、第11条(貯蔵) 、第23条(取扱者の制限) )の成立が問擬されたところである。


(2)補導少年


静岡県西部地区居住
県立高校生(16歳)


(3)製造しようとした爆発物


○ ■■■■
  ■■■■ + ■■■■ + ■■■■ = ■■■■

○ ■■■■
 ■■■■ + ■■■■ + ■■■■ = ■■■■



5 参考事項


○ 「図解アリエナイ理科ノ教科書」については、平成17年11月1日、三重県において有害図書(三重県告示第-856号)に指定されている。
○ 対象図書4冊を添付する。