ターミナルケア(終末期医療)、ホスピスケアのスペシャリストとして死にゆく人々の心に寄り添い話に耳を傾けてきたキューブラー・ロスとデーヴィッド・ケスラー。二人の共著「ライフ・レッスン」には人生を輝かせる宝石のような言葉が詰め込まれています。

 

「わたしたちはたがいに癒しあい、また自己を癒すために地上に生まれてきた。それは身体症状の回復という意味での癒しではなく、はるかに深いレベルでの癒し、精神の、そしてたましいの癒しである」(キューブラー・ロス)

 

死を目の前にして人生とは何かを考える患者とその家族と対話を続けてきたキューブラー・ロスは、人間はみんな癒されるために生まれてきたということを知ります。苦しみや憎しみや後悔や怒りを抱えて死んでいきたいと思う人は一人もいません。誰もが自分の心を自力で癒し亡くなっていきました。

人は危機に直面したり、死を目の前にしたりしてはじめて「この人生で解決すべき重大な問題」があることに気づきます。普段は気にもかけていなかったことが、本当はずっと心にひっかかっていたことに気づくのです。それは、昔別れた家族や恋人のことかもしれません。ずっと昔にあきらめてしまった夢かもしれません。そこには憎しみや悲しみや嫉妬や後悔といったネガティブな感情がともないます。でも、そういった心の傷と向き合い、それを「癒した」先に見えるものが、「本当の自分」の姿なのです。


「わたしたちはみなこころの奥底に、自分がそうなるはずだった何者かが住んでいることを知っている」(キューブラー・ロス)

 

「本当の自分」は苦しむことを求めていません。問題の解決を望んでいます。

 

どんな傷も時間が経てばふさがるように、世界は「癒す力」に支えられています。私たちは人生を力尽くでコントロールすることをやめたとき、世界の「癒す力」に支えられ、自らの心を癒し、本当の意味で生きることができるようになります。

 

健康で、それほど問題がないとき、わたしたちが気にしているのはお金のことや会社のことや休暇旅行やマイホームの建築などかもしれません。でも死を目の前にするとそういうものはどうでもよくなるのです。一番大切なもの、この世で最も大事な「自分」という存在がクローズアップされるのです。

 

本当に大切なものは、わたしたち自身の心の中に存在します。「本当の自分に出会うために人生の終焉まで待つ必要はない」とキューブラー・ロスは言います。

 

世界の「癒す力」を信じて、これからも日々、自分自身と向き合っていきたいです。