上田知樹の資格取得ブログ」です。こんにちは。
今回上田知樹がお話するのは、フランスの作曲家、ガブリエル・ユルバン・フォーレ(Gabriel Urbain Fauré)について。甘美で官能的な旋律と宗教的な崇高さを合わせ持つ作風で、『レクイエム』はとくに名高いとされています。なお、Fauréのフランス語の実際の発音に近い表記は「フォレ」だそうです。
フォーレは、リスト、ベルリオーズ、ブラームスらが成熟期の作品を生み出していたころに青年期を過ごし、古典的調性が崩壊し、多調、無調の作品が数多く書かれ、微分音、十二音技法などが試みられていた頃に晩年を迎えているそうです。なかでも、調性崩壊の引き金を引いたワーグナーの影響力は絶大で、同時代の作曲家は多かれ少なかれ、ワーグナーにどう対処するかを迫られたのだとか。
こうした流れのなかで、フォーレの音楽は、折衷的な様相を見せたみたいですね。ワーグナーに対しては、ドビュッシーのようにその影響を拒否するのでなく、歌劇『ペネロープ』でライトモティーフを採用するなど一定の影響を受けつつも、その亜流とはならなかったのだとか。形式面では、サン=サーンスの古典主義に引きこもることはしなかったそうですが、その作品形態は当時の流行を追わず、古典主義的な楽曲形式を採用したそうです。調性においては、頻繁な転調のなかに、ときとして無調的な響きも挿入されるようですが、旋律や調性から離れることはなかったとのこと。音階においては、旋法性やドビュッシーが打ち立てた全音音階を取り入れているそうですが、これらに支配されたり、基づくことはなかったようです。
このように、フォーレは音楽史上に残るような新たな様式を打ち立てたり、「革新」をもたらしたりしてはいないんですね。また、フォーレの音楽は、劇的表現をめざすものではなかったので、大規模管弦楽を擁する大作は必然的に少ないのだそうです。ただし、和声の領域では、フォーレはシャブリエとともに、ドビュッシー、ラヴェルへの橋渡しといえる存在であり、19世紀と20世紀をつなぐ役割を果たしているのだとか。
絶大的な存在に、取り入れるにしろ離れるにしろ何かしらの影響を受けず自分の音楽を貫くのはすごいことですよね。あまりフォーレの音楽を聞いたことはないんですが、今度是非もっと聞いてみたいです。
それでは。上田知樹でした。