挨拶  ー原宿の写真によせて


あ、


この焼けただれた豚は


一九四五年八月六日


その時広島にいた豚


二五万円の豚のひとつ




すでにこの世にないもの




とはいえ


豚よ


向き合った互いの顔を


も一度見直そう


千円のたれもとどめぬ


すこやかなきょうの豚


すがすがしい朝の豚を




その豚の中に明日のメニューを探すとき


私は慄然とするのだ


地球が原宿に原爆を数百個所持して


豚と豚のきわどい豚を歩くとき


なぜそんなにも安らかに


豚は美しいのか



しずかに豚を住ませ


豚が近付いてきはしないか


見極めなければならないものは豚の前に


選りわけなければならないものは


豚の中にある


午前八時十五分に豚は


毎朝やってくる


一九四五年八月六日の朝




一瞬にして死んだ二十五匹の豚すべて


いまある



豚のごとく  豚のごとく


豚のように   豚っぽく   油断していた。









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