この世界で出逢ってくれた人たちへ





初めて、君に出逢ったとき、
正直、言葉が出なかった。



ベッドに横たわり、
 目だけを左右に動かし、



湾曲した足と背中を
時々伸ばすかのように動く君。



これから、二人で週3回、2時間を
どう過ごしていこうか…。



考えてしまったんだよ。




でも、



君のお母さんは、
君の聴覚と意識は、


病気をする前と同じはず。


そう信じて、いたんだよね。



君の好きそうなアニメを

いっしょに見たり、

君の好きだった曲を聴いたり、

ハリーポッターの本を読んであけたり、



君が聴こえているかのように、
いつも明るく話かけていたよね。



小学生低学年まで、
明るく陽気で活発なやさしい男の子だった。



突然、進行性の難病にかかり、


走ることも、歩くことも
座ることさえも
噛むことさえも


できなくなってしまった君。




君と君の家族が
流した涙がどれだけだったのか…。


想像することしかできないけど、



それでも、


君の存在が


君との思い出が


君の家族を支えていったんだね。



君の分も明るく陽気に
君の好きなものの話をしてくれる


お母さん。



定期的なお世話のために

毎日、君のそばで長座布団で
寝ることさえも

当たり前のような素振り
だったよ。



本当に君は、愛されていたよね。



どんなに話せなくても


どんなに笑顔を見せてくれなくても


どんなに返事がなくても




君が生きてくれている



それだけで 十分だったんたね。




君が生きている



それこそが、


家族の喜びだったんだね。







君が教えてくれたこと。



生きている


それだけで、  


誰かのはげみに


なっているんだよね。



誰かの喜びに


なっているんだよね。






忘れてしまうけど


すごく大切なことを


君は教えてくれたね。


ありがとう。




78億分の一の奇跡のような出逢いに



心から感謝して、



出逢ってくれて


ありがとう。